徹底解説!認知行動療法! ③ ~気分と自動思考~
就労移行支援事業所 リスタート では、毎週火曜日にワークショップを認知行動療法講座をやっています。
講座内でも「認知行動療法とは何か」ということについて説明していますが、普段使わない言葉や考え方が多く含まれており、すぐに理解するのは難しいものです。
ここでは、講座の復習も兼ねて、「認知行動療法」というものについて、より詳しく解説していきます!
自分の気分に気がつく
前回、認知行動療法について説明する中で、まずは認知を変えることで気分(感情)や身体反応を軽減する、と話しました。
これが認知行動療法の第一歩となるのですが、実はその前にやる必要があることがあります。
それは、「自分の気分に気がつく」ということです。
「最近、なんだかつらいな」と感じていても、ただ「つらい原因となっている認知は何だろう?」と考えてもなかなか見つかりません。
まずは、この「なんだかつらい」というのがどんな感情なのかを紐解いていきましょう。
“気分”と”思考”を区別する
さて、気分を表す言葉にはどのような種類がありますでしょうか。
「落ち込み」「不安」「怒り」「恐怖」など、他にもたくさんありますね。
では、以下のものはどうでしょうか?
「失敗するかも」
「怒られないだろうか」
実はこれらは、”気分”ではなく”思考”です。
思考とは、すなわち自分で変えることのできる「認知」であり、気分・感情とは違うものです。
気分と思考を区別する目安は「ひと言で表せるかどうか」です。
自分が感じている気分を書き出していく中で文章の形になっているものがあれば、分けるようにしてください。
気分の例
・恥ずかしい
・憂うつ
・がっかり
・悲しい
・腹立たしい
思考の例
・どうせうまくいかない
・私はダメな人間だ
・あの人は気が利かない
・台無しになってしまう
・おかしくなりそうだ
数値で気分の強さを表す
自分の感じている気分を探すとき、1つの言葉に当てはめる必要はありません。
むしろ、
「不安」に思って「落ち込んで」いるが、「イライラ」する部分もある。
なんていう風に、複数の気分が混ざり合っていることのほうが多いでしょう。
そして、これらの気分の強さは同じではないはずです。
気分を言葉にするときは、出てきた気分それぞれの強さを、0%~100%の範囲で数値にしてみます。
例えば、不安が90% 落ち込みが80% イライラは40% というようにです。
このように気分の強さを可視化しておくことで、次に行う自動思考探しで役に立つほか、新しい考えによってどのように気分が変わったかを知るためにも必要です。
自動思考を見つける
自動思考とは、何かがあったときに、その場で無意識のうちに浮かんでくる思考のことです。
「自動」思考の名の通り、じっくり考えて導き出すものではなく、パッと浮かんですぐ消えてしまいます。
例えば、ミスをしたときの「またやってしまった」や、怒られたときの「そんな言い方をしなくてもいいじゃないか」というのは自動思考です。
自動思考は、意識しなければすぐに見えなくなってしまいますが、この自動思考を捕まえることが、認知を修正していく第一歩です。
“つらい気持ち”の正体がわかったら、その原因となっている自動思考を探してみましょう。
ホットな思考を探す
先ほど、気分の強さを数値化しましたね。
その中で、もっとも大きな数値になったもの。
つまりはもっともはげしく気持ちを揺さぶった気分の原因となった自動思考が”ホットな思考”です。
まずは、ホットな思考がなんだったかを分析し、つらい気分の原因を探しましょう。
自動思考の例
状況
同窓会に参加したAさん。
しかし、周囲は華やかな雰囲気で盛り上がっており、なんだか置いていかれているように感じてしまいました。
周囲はビジネスの話で盛り上がっており、成功しているように見えます。
気分
屈辱感:90%
羞恥心:70%
落ち込み:55%
自動思考
・もっといいスーツを着てくるべきだった
・みんなは成功していて幸せそうだ。それに比べて自分は敗北者だ
・自分のようなつまらない人間なんて、誰も相手にしてくれない
この中で”ホットな思考”となるのは、屈辱感との関連が深い2つ目の自動思考です。