GW特別プログラム②『推論の誤り』

GW特別プログラム

今日は祝日ではありませんが、ゴールデンウィーク期間の一環として活動日になっています。

前回と同じく、在宅でやれるプログラム資料を利用者のみなさんにお配りしました!

このブログでも一部を紹介していきます!

認知の歪み

今回は、認知の歪みによる推論の誤りについての練習問題です。
認知行動療法のプログラムでも紹介している内容ですが、まずは認知の歪みについて復習しましょう!

認知の歪みとは、辛い気分の原因となる思考のパターンです。
代表的なものとして、以下の10個があります。

①白黒思考
曖昧な状態を許容できず、物事すべてを白か黒かと極端に二分して考えてしまう。
例)すべての仕事で良い結果を出さねばならない。1つでも失敗があれば、他が成功していたとしても、全て失敗したも同然なのだ
例)少しでも幼稚であれば大人とは言えない

②極端な一般化
1度や2度起こっただけの失敗・悪い出来事を、常に当然のごとく起きるコトだと思いこむ。
例)仕事でミスをした。自分はいつも失敗してばかりだ。

③心のフィルター
ものごとの良い部分をまるで意識できなくなり、悪いことばかりを思い出してしまう。
目の前にキレイな景色が広がっていても、ほんの小さなゴミが落ちていたら、それしか目に入らなくなる状態。
例)今までの人生の中で、いい思い出なんて一つも無い

④マイナス化思考
良い部分を遮断する心のフィルターに対して、マイナス化思考は良いことを良いと考えられなくしたり、あったことにマイナスの解釈を加えてしまう。
例)仕事で大きな成果を上げても『過去の失敗の償いに過ぎない』と落ち込む。
例)道に落ちているゴミを片付けても『わたしは腐った偽善者だ』と自己卑下する。

⑤結論への飛躍
明確な根拠がないにも関わらず結論付けてしまう。“心の読みすぎ”と”先読みの誤り”に分類できる。

・心の読みすぎ
人の断片的な行動や発言で、その人がどう思っているかを決めつけてしまう。
例)上司に挨拶をされなかったことで、自分は嫌われていると考えて憂鬱になる。

・先読みの誤り
だれにもわかるはずがない将来を決めつけてしまう。
例)「わたしは一生不幸だ」
例)「わたしは永遠に孤独だ」

⑥過大評価・過小評価
自分の失敗や悪いところを必要以上に大きく、自分の成功や良いところを極端に小さく考える。
あるいは他人の場合はその逆に考える。
例)人とうまく話せた時のことは忘れ、話せなかった時のことばかり覚えている。
例)自分が失敗したら「自分は無能だ」と考えるが、他人の失敗は「そんな失敗大したことないさ」と励ます。

⑦情緒的な理由付け
その時の自分の感情に基づいて現実を判断する。
例)「自分は生きている価値がないと感じる。だから本当に生きている価値のない人間だ」
例)「これをやりとげる自信がない。だからきっとやりとげられないにちがいない」

⑧べき思考
「こうするべきだ」「ああするべきではなかった」と過去を思い出して悔やんだり自分の行動を自分で制限したりする。
自分で考えた基準を絶対のものとして考える。
例)「上司なんだからもっと大人らしい行動をするべきだ」
例)「人は人と関わらなければ生きていけない。だから、人に感謝すべき」

⑨レッテル貼り
自分や他人に柔軟性のないイメージを創り上げて、そのイメージを固定してしまう。
例)私はダメ人間だからいつも失敗するのだ。

⑩自己関連付け
何か悪いことが起きると、それが自分に関係なくとも自分のせいであると責める。
例)子供が問題を起こすとすべて自分の育て方が悪かったのだと強く自分を攻める
例)プロジェクトの失敗はみんなには責任がない、わたしが全部悪いんだ

練習問題

以下の問題で出てくる認知には、すべて認知のゆがみが含まれています。
どの認知の歪みが当てはまるか、選んでみてください。
【1.白黒思考】【2.極端な一般化】【3.心のフィルター】【4.マイナス化思考】【5.結論への飛躍】
【6.過大評価・過小評価】【7.情緒的な理由付け】【8.べき思考】【9.レッテル貼り】【10.自己関連付け】

Q1
状況:正月に久しぶりに実家に帰ったところ、母から「元気そうね!ちょっと太って顔が丸くなったんじゃない?」と言われた。
認知:正月を過ぎてしばらく経っても、顔の丸さや体型ばかりが気になり、外に出るのが憂うつでたまらない。

Q2
状況:結婚を意識して付き合っていた人と別れることになってしまった。
認知:私は一生、結婚できないだろう。

Q3
状況:先日、通勤中に初めてパニック発作を経験し、メンタルクリニックに通うことになった。そして今日、電車に乗っているとき、2度目の発作が起きた。
認知:今度こそ気を失うか、頭がおかしくなってしまうに違いない。このまま死んでしまうかもしれない。

Q4
状況:友人夫妻が遊びに来るので、夕食の準備をしていた。テーブルの準備をしているうちに、メインの肉を焼きすぎて硬くなってしまった。
認知:せっかくの食事が台無しだ。こんな料理を出すくらいなら、急用ができたと電話して取りやめにしたほうがマシだ。

Q5
状況:自分の部下が「今月で退職したい」と突然言ってきた。他の部署でも退職した人間はたくさんいるが、それほど急な退職ではなかった。
認知:他の部署の管理職は皆優秀で、部下を上手く管理しているのに、自分には部下を管理する能力がない。

練習問題解答例

A1:心のフィルター
「ちょっと太った」という言葉が頭から離れず、他のことに意識を向けられなくなっています。

A2:極端な一般化
今回別れてしまったことは、結婚できないこととイコールではありません。

A3:結論への飛躍
パニック発作についてクリニックで説明を受けているにもかかわらず、発作で死んでしまうのではないか、など極端な予測をしてしまっています。

A4:白黒思考
1つの料理で失敗したことで、友人との夕食を楽しめなくなったと考えてしまっています。

A5:過大評価・過小評価
自分の能力がなく、周囲が優秀だから起きた結果だと決めつけています。

まとめ

大事なことは、選んだ認知の歪みが正しかったかどうかではなく、どのような考えに認知の歪みが隠れているかを知ることです。
落ち込み、不安、イライラといった気持ちを感じたときには、自分の考えにこれらのような認知の歪みが含まれていないか、物事の悪い面だけを捉えていないか確認してみてください。

 

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