選択理論の考え方で問題に対処してみよう! ⑧ ~コンペで敗れて自信を失ってしまった~

就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。

今回も、選択理論の10の原理に基づいて、職場で起こり得る問題に対処する方法を紹介します!

選択理論の10の原理

(1)私たちがコントロールできる行動は唯一自分の行動だけである。
(2)私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて情報である。その情報をどう処理するかは、それぞれの選択である。
(3)長期に渡るすべての心理的問題は、人間関係の問題である。
(4)問題のある人間関係は、常に私たちの現在の生活の一部である。
(5)過去に起こった苦痛は私たちの現在に大きく関係しているが、この苦痛な過去に再び戻ることは、いま私たちがする必要のあること、すなわち現在の人間関係の改善には貢献できない。
(6)私たちは、遺伝子に組み込まれた欲求、すなわち生存、愛と所属、力、自由、そして楽しみ、これら5つの欲求によって駆り立てられている。
(7)私たちは、上質世界に入っているイメージ写真を満足させることによってのみ、こうした欲求を満たすことができる。
(8)私たちが誕生して死を迎えるまでにできることはすべて、行為、思考、感情、身体反応、これらのうちいずれかの行動である。
(9)すべての行動は、動詞、あるいは不定詞や動名詞によって表現され、最も認めやすい要素によって呼ばれる。
(10)すべての行動は選択されたものであるが、私たちが直接コントロールできるのは行為と思考だけである。

Case8:コンペで敗れて自信を失ってしまった

Kさんは、ある企業で働きだして今年で5年目になります。

入社1年目の頃にはミスをすることもありましたが、だんだんとミスも減り、大きな仕事を任されるようになってきました。

そんなあるとき、これまでに経験のない大きな案件の機会が巡ってきました。

自信もついてきて、仕事に充実感を覚えてきたKさんは、ぜひ自分にやらせて欲しいとその案件を受けることにしました。

クライアントはライバル企業にも話を持ち掛けており、コンペによって仕事を受けられるのかが決まるということで、Kさんは先輩の協力を断り、何日か自主的に残業して自力で企画書を作成しました。

いざコンペの当日、Kさんは自身の企画書を会心の出来だと思っていたのですが、実際にはクライアントの要望を汲み取り切れておらず、敗北してしまいました。

結果を知ったKさんは、「もっと先輩のアドバイスに従うべきだった」「自分のせいで、せっかくのチャンスをふいにしてしまった」と落ち込んでいます。

こんな時、選択理論の考え方でどのように対処することができるでしょうか。

選択理論で対処してみよう!

満たされていない欲求ですが、今回も「力の欲求」ですね。

今回重要なポイントは、「過去を変えることはできない」ということです。

コンペで負けてしまったという過去に目を向けていても、ストレスになるだけで残念ながら何も変わることはありません。

「失敗してしまった」ということを、別の見方に変えることができれば、「落ち込み」を選択することをやめ、他の行動に移ることができるはずです。

まずは今回の結果について、まとめて「失敗」とみなすのではなく、上手くいったこと、失敗したことに分けて考えてみましょう。

今回、コンペで敗れてしまった要因は、クライアントの要望を汲み取りきれていなかったことです。

企画書そのものの出来が悪かったわけではなく、会心の出来だったということについて否定する必要はありません。

また、先輩からの協力を断って進めてしまったために気づかなかったという部分があるのは事実でしょう。

つまり、この状態を言い換えれば、「現在自身に足りていないのはヒアリングのスキルであることがわかった」ということになります。

であれば、例えば準備中に声をかけてくれた先輩に事情を話し、ヒアリングのコツを中心にアドバイスを聞きに行く、といった行動を選択するのはどうでしょうか。

 

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