選択理論の復習① 外的コントロールと内的コントロール

就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。

ここまでの記事では、実際の職場で起こり得る様々な問題に対して、この理論を用いた対処法を考えてきました。

今回からは、選択理論の考え方について、復習をしていきたいと思います。

外的コントロールと内的コントロール

選択理論において、一番基本となる考え方が、外的コントロールと内的コントロールです。

復習の初回として、これらの考え方について説明していきます。

外的コントロール

外的コントロールとは、「人間の行動は、外部からの刺激に影響されて起きる」という考え方です。

「電話が鳴ったから出た」「信号が赤になったから止まった」といった行動の変化のほか、「挨拶をしてくれなかったので落ち込んだ」というような気持ちの変化も含まれます。

一方、人間の行動が外部からの刺激に影響されて起きるということは、外部から刺激を与えることで、相手の行動をコントロールできるということでもあります。

そのため、「ミスをした相手を叱る」ことによって改善させようとしたり、「態度が悪い相手に罰を与える」ことで改めさせようとするのも外的コントロールに基づいた行動であると言えます。

「私が今こんな気持ちになっているのは、あの人がこんなことをしたせいだ」
「あそこであんなことが起きなければ、こんなことをせずにすんだ」
「あの人は間違っているから、正さなければいけない」

これらの考え方は、いずれも行動、感情の原因を自分の外に置いているのです。

内的コントロール

一方で、内的コントロールというのは、「行動は常に自分自身の内側から動機づけられている」という考え方です。

内的コントロールにおいては、あらゆる現象や状況、自分以外の人の言動などは”情報”に過ぎないと考えます。

すなわち、様々な情報を受け取り、その情報を元に自分にとって最善と考える行動を”自分で選択”しているのです。

選択理論という名前もここから来ています。

先ほどの例を内的コントロールに当てはめれば、

「電話が鳴ったという情報を受け取り、出るのが最も良いと判断したので出ることを”選択”した」
「信号が赤になったという情報を受け取り、止まるのが最も良いと判断したので止まることを”選択”した」

ということになります。

電話が鳴ったとしても、非通知だったら出ないという人もいますし、電車内など、場面によって出ないことを選択することもありますよね。

また、信号が赤になったとしても、車通りがなければわたってしまうという人も多くいるのではないかと思います。

あくまで受け取った情報から自分にとっての最善を選択するため、同じ場面でも人によって起こす行動は変わってくるのです。

「挨拶をしてくれなかった」ことについても、その情報を「自分は嫌われているのだ」といったように受け取り、落ち込むという行動を自分で”選択”したことになります。

また、「ミスをした相手を叱る」「態度が悪い相手に罰を与える」といった行動についても、叱ることが、罰を与えることが最善の行動と自分で選んだのであり、相手がミスをしたから、態度が悪いからというのが直接の動機ではないということになります。

まとめ

今回の記事では、選択理論の最も基本的な考え方である、「外的コントロール」と「内的コントロール」について説明しました。

選択理論は「内的コントロール」に基づく理論です。

その理由は、外的コントロールを使ったコミュニケーションと内的コントロールを使ったコミュニケーションでは、人間関係に大きな差異が出てくることにあります。

この差異がどのようなものなのかについて、次回の記事で説明していきます。

 

restart_banner