自分の人生を支配している「思い込み」 ⑬ ~バルコニー思考法~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。

自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。

ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。

『アンカリング』に要注意

これまで、『自分の人生を支配している「思い込み」』の記事では人の考えや行動の選択には多くの思い込みが影響していると話してきました。

自分の考えが思い込みから成り立っているということに気づけると、自分で自分を制限していたことに気が付くことができるのですが、実際には「自分の考えが絶対の正解ではないかもしれない」と考えるのは難しいものです。

そのために、思い込みから思考が固定されてしまい、特定の枠組みに左右されてしまうことを、碇(アンカー)を下した船に例えて「アンカリング」と呼びます。

例を出しましょう。

あなたが行った服屋では、平均して1着2万円ほどの値段がついていました。

その中で1万円の服が見つかったら、「お買い得」と感じますよね。

しかしこれが、平均して5千円の服屋で見つけたものだったなら、「高い」と感じて手が伸びないかもしれません。

このように、そのもの自体の価値で捉えるのではなく、何かと比較することで物事を捉えるのは「アンカリング」の一種です。

とはいえ、ここから抜け出すのは難しく、またそうすることが必ずしも悪いことというわけでもありません。

しかし、「比較によって印象が変わっているのだ」という意識を持っていたら、より自分にとって価値のあるものを見つけやすくなるでしょう。

また、ストレスの影響などからネガティブな思い込みを持ってしまうのもアンカリングです。

例えば、「あの人とは考えが合わない。いつもイライラさせられてばかりだ」と考えている相手だと、大した一言でなくても実際以上に不快に感じてしまうことがあります。

認知の歪みにおける「レッテル貼り」ですね。

このように、アンカリングに囚われてしまっているときにオススメなのが、「バルコニー思考法」です。

バルコニー思考法

バルコニー思考法は、思い込みから”距離を置く”のに役立つ思考法です。

バルコニーから見下ろすようなイメージで、自分自身のことや物事について、高い視点から俯瞰して観察してみてください。

客観的に自分を見つめ直すことができれば、アンカリングに惑わされず、自分にとってより良い選択肢が見えてきます。

ひとつ練習してみましょう。

あなたはある日上司から、「お前はそれだからだめなんだよ」ときつい言葉を言われてしまいました。

ついカッとなって言い返したくなりますし、退職を考えるかもしれません。

しかしその前に、一度冷静になって、この状況をバルコニーから見下ろしてみてください。

そして、「自分にとって一番大事なこと」はなにか考えてみましょう。

ここで上司に反論したり、会社をやめた場合にどうなるか、メリットとデメリットを考えてみてください。

それが、自分のやりたいことを妨害しないのであれば、そうするのも良いでしょう。

しかしもしも、「自分はこの上司のために仕事をしているわけじゃないし、やりたいことを続けるためにはやり過ごした方が良いだろう」と思ったら、それがあなたにとってより良い選択となるのです。

あくまでも、行動の決定権を持つのは自分自身です。

思い込みによって限られた選択肢を選んで後で後悔しないように、一度バルコニーに上がって自分にとって最善の選択肢を見つめるようにしましょう。

 

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