思い込みのフィルター
リスタートでは、人が生きづらさを感じる理由として、「思い込み」が大きな壁となっていると考えています。
そのため、自己分析講座や認知行動療法などのプログラムを通じて自分の持つ「思い込み」に気が付き、変えていくことで、ストレスを軽減したり、周囲とのコミュニケーションを取りやすくなることを目指しています。
この記事では、人が持つ思い込みが、どのように人生に影響を与えているのか、見ていきたいと思います。
思い込みと反応
さっそくですが、「自分はダメ人間だ」という重大な思い込みを持つ人について考えてみましょう。
自分に自信を持てないがために、自分のことを安売りしてしまうかもしれませんし、もしくは自分の身を守るために周囲との間に壁を作るかもしれません。
しかしそれでも、ビジネスで成功して財産を築き、周囲の人から見て立派な成果を上げたとしましょう。
さて、それではこの人は、それによって満たされるのでしょうか。
恐らくは、そのような状態になってもなお満たされていないように感じられてしまうのではないかと思います。
なぜならば、人の反応(喜怒哀楽などの感情や、それに伴う言動)を決めるのは、出来事ではなくその人が持つ思い込みであるからです。
「自分はダメ人間だ」という思い込みを持つ人は、例え仕事が全体で見れば成功であったとしても、ミスをしてしまったところやうまくいかなかったところに目が向きます。
そのため、自分では「うまくいかなかった」という認識になってしまい、どれほど成功してもその実感を持つことができないのです。
また、周囲の人との関係性も思い込みに影響されます。
例えば、「同じ職場にいる同僚が昇進した」というニュースを耳にしたとします。
このとき、Aさんは「おめでとう!良かったじゃないか!」と喜んだのに対して、Bさんは黙り込んでしまい、以降この同僚を避けるようになりました。
この反応の違いも、思い込みの違いということができるでしょう。
Bさんが持っている思い込みは様々なものが予想されます。
一例としては、「周囲の人間よりも優秀でなければ、自分は認められない」といった思い込みがあるかもしれません。
このような思い込みを持っていたとしたら、自分よりも先に昇進した同僚は、自分の価値を脅かす存在と感じられてしまうため、敵意を持ってしまうことになるのです。
さて、さらに別の例についても考えてみましょう。
「自分には知的な会話に参加する能力がない」と考えているCさんがいたとしましょう。
Cさんがグループの会話に参加していたとき、話の流れからその種の話題になりました。
するとCさんはとたんに居心地が悪くなりました。
自分が発言すると、周りの人たちは馬鹿にしてきます。
周りは自分に敵意をもって、あえてその話題を選択しているようです。
話を聞いて浮かんだ意見はあったものの、それを伝えても軽蔑するだけなので黙り込んでしまいます。
・・・さて、Cさんを取り巻く状況は、本当にCさんの認識している通りなのでしょうか?
Cさん発言を聞いた周りは、馬鹿にしていたのではなく、面白い話を聞いて笑ったのかもしれません。
敵意からあえて話題を選んだのではなく、Cさんにとっても有益な話題であったかもしれません。
口にしなかったアイデアは、実は周囲も助かるような良い意見だったかもしれません。
もちろん、周囲の人が何を考えているのかや、選ばなかった未来がどうだったのか、真実を知る方法はありません。
しかしそれならば、自分が思い込みでこれと決めつけていたことが、真実であった保証もないのです。
人は常に思い込みと共に生きています。
うまくいかないとき、ネガティブな気持ちが浮かんでくるときには、その原因が思い込みにないか、考えてみてください。