就活SST「言いたいことの”核”」
就活SST
現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。
今日は、就活SSTのプログラムを行いました。
在宅の期間中も主に課題をこなすという形でSSTは続けていましたが、講座でのSSTは間が空いていたため、以前の復習を進めています。
今回は、人に何かを伝える際に気を付ける必要があるポイントについて考えました。
言いたいことの”核”
コミュニケーションとは、「お互いに情報を伝え合う」ことです。
しかし、基本となるこの「人に何かを伝える」というのは、意外と難しいものです。
その理由は、情報を解釈するのは常に”受け取り手”であることにあります。
人は、耳や目から入ってきた情報をそのまま受け取るのではなく、必ずその前に一度「解釈」を挟みます。
そのために、伝えたと思っていた情報がそのまま伝わらない「誤解」が生まれてしまうことがあるのです。
相手の受け取り方を直接コントロールすることはできませんが、情報の伝え方によってある程度誤った解釈を防ぐことは可能です。
相手に伝わるように話すためにはどうすればいいか、考えてみましょう。
次の例を見てください。
「毎日かなり仕事を抱えているみたいで大変そうね。残業も多いようだし、ワークライフバランスも考えなければいけないと思って。もしよかったら相談してね」
これは、ノー残業デーでも構わずに連日遅くまで残業をしている部下に向けられた言葉です。
この言葉で、上司が伝えたいことは何でしょうか?
恐らく、こう言われた部下は、「遅くまで働いていることを心配してくれているな」というように受け取るのではないかと思います。
その結果、「ご心配ありがとうございます。私はこの仕事が好きですし、まだまだ大丈夫です!」なんて回答をするかもしれません。
さて、ここで考えていただきたいのですが、この上司が伝えたかったことは、本当に「相談して欲しい」といった部分だったのでしょうか。
実は、上司がここで伝えたかったのは、「ノー残業デーには定時で帰宅して欲しい」ということでした。
しかし、これを直接伝えるのは憚られたために遠回しの言い方を選んだところ、「残業しないで欲しい」というメッセージではなく「心配しているから相談してね」というメッセージとして伝わってしまったのです。
このような誤解を防ぎ、伝えたいことを相手にそのまま伝えるためには、言いたいことの”核”を明確にする必要があります。
この場合であれば、「ノー残業デーには定時で帰って欲しい」という部分は隠さずにそのまま伝えなければなりません。
とはいえ、これだけを言葉にしてしまっては、強制しているように感じられてあまり良い印象にならない可能性もあります。
“核”はそのまま伝えつつも、相手に共感し、自分にできることを伝えていくことが大事です。
「毎日かなり仕事を抱えているみたいだね。いつもありがとう。残業も多いみたいだけれど、ノー残業デーは残業せずに定時退社してもらえないかな。もし終わらないような状況であれば、仕事の量を調整しよう」
このような言い方をすれば、相手も定時退社を目指してくれそうですね。
また、もしもそれができないというのであれば、どうすればできるのかの相談に繋げることができそうです。
言い辛いことであっても、言いたいことの”核”が不明瞭にならないように意識して話すようにしましょう。