自分の人生を支配している「思い込み」 ⑰ ~思い込みを捨てることでマイナスの感情に対処する~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。

自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。

ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。

マイナスの感情の裏にある思い込み

認知行動療法や選択理論等のプログラムで言及してきたことですが、感情というものを直接コントロールすることはできません。

悲しんでいるときに、感情を直接書き換えて喜びの感情を浮かべることができる人はいないでしょう。

しかし、その感情の裏に隠れている”思い込み”を見つけ、それを捨てる、あるいは変えることができれば、間接的にネガティブな感情を落ち着けることは可能です。

ネガティブな感情が浮かんできたときは、それによって自分を責めたり、相手を攻撃してしまう前に一度間をおいて、冷静に分析できるようにすることが重要です。

そして、「なぜその感情が浮かんできたのか」を考えることで、感情の裏に潜む思い込みを探し出します。

例を出しましょう。

約束をしていた相手が、時間になっても現れず、遅れてやってきました。

それにも関わらず謝罪の言葉はなく、悪びれる様子もなかったとしましょう。

カッと頭に血が上り、怒鳴りつけたくなってしまうかもしれませんが、なんとかぐっとこらえてください。

ここで怒鳴ってしまえばお互いに嫌な思いをするだけですし、相手は「次回から遅刻しないように気を付けよう」ではなく、「こんなことで怒鳴るなんて、嫌な人だ」なんていうふうに考えるかもしれません。

いったん深呼吸して、「今、自分が怒りを感じた根本には何があるだろうか?」と考えてみてください。

ネガティブな感情の裏には、「相手の行動はこうであるべきだ」という思い込みがあるものです。

今回であれば、「遅刻せずに約束を守るべきだ」「遅刻をしたなら謝るべきだ」という”思い込み”が根本にあったのでしょう。

それらの”期待”が裏切られたために、反射的に相手に対する強い悪感情が浮かんでしまったのです。

そこに気づいたら、自分が期待していた内容についてを、相手に伝えましょう。

ただし、「そうしろ」と強制するのではなく、あくまでもリクエストの形で伝えることがポイントです。

怒鳴りつけず、「遅刻をされては困ります」と冷静に伝えたならば、相手も冷静なまま、リクエストを受け入れやすくなるはずです。

プライドがマイナスの感情を生むこともある

ほかに、マイナスの感情が浮かぶ原因として考えられるのが”プライド”です。

プライドとは、言い換えれば「勝ち負けに対するこだわり」です。

先ほどの例であれば、「遅刻をされた自分の負けだ」とか、「遅れてきたということは、相手の方が自分より上だということだ」といったように、人と比較して優劣をつける思い込みを持っていると、ネガティブな感情が浮かびやすくなってしまいます。

プライドを持つことが悪いというわけではないのですが、日常のあらゆる場面で勝ち負けを気にしてしまうようであれば、余計な部分は切り捨ててしまったほうが生きやすくなるかもしれません。

大事なのは、相手のことも自分のことも認めることのできる「アサーション」や「自己肯定感」です。

他人に共感はするが依存はしない生き方ができるようになれば、ネガティブな感情に振り回されることもなくなっていくでしょう。

 

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