うつ病ってどんな病気?

うつ病は“ココロの風邪”

「ツレがうつになりまして。」

という漫画を読んだことはありますか?
映画にもなったのでご存じの方もいるかと思いますが、
とあるサポートセンターで勤務していた主人公のツレ(旦那さん)が
うつ病にかかり、緩解までの道のりを夫婦で乗り越えていく、というお話です。

自分自身はもちろん、親族や友人が突然「うつ病」になると、
戸惑われる人も多いかもしれません。
しかし「うつ病」は、「ココロの風邪」とも言われるほど、
誰がかかってもおかしくない病気です。

ここでは、

  • なにが原因で「うつ病」にかかるのか?
  • 「うつ病」にかかるとどんな症状が出るのか?
  • 「うつ病」にはどんな治療法があるのか?

を、改めて解説していきます。
 
うつ病ってどんな病気?

そもそも「うつ病」とはどんな病気なのか?

だれでも嫌なことや悲しいことがあると、気持ちが落ち込んだり、つらい気分になりますが、つらい状態がほぼ毎日、2週間以上続いて、日常生活や仕事に支障が出てしまう。
これが「うつ病」です。
「うつ病」は、様々な理由で脳になんらかの問題が起きている状態と考えられているため、気力で解決できるものではなく、治療が必要な病気です。

なにが原因で「うつ病」にかかるのか?

「うつ病」にかかる原因はひとそれぞれ違いますが、震災などで家族を亡くしたり、人間関係のトラブル、仕事や財産の喪失、就職や転職、妊娠・育児・引っ越しなど、環境の変化による「環境的要因」と、自分自身が重い病気にかかったり、慢性的な疲労の蓄積、脳血管障害、月経前・出産・更年期などによる「身体的要因」など、さまざまなストレスが重なって発症すると考えられています。

「うつ病」にかかるとどんな症状が出るのか?

「うつ病」にかかると、精神面身体面でさまざまな症状が起こります。

精神面では…

  • 意欲低下(なにもやる気が起きない、なにをしても楽しくない)
  • 抑うつ気分(悲しい気持になる、気分がすっきりしない)
  • 不安・焦燥感(常に不安な気持ちになる、イライラして落ち着かない、焦る)
  • 注意・集中力の低下(考えがまとまらない、集中できない、決断できない)
  • 無価値観・罪悪感(自分が役に立たない人間だと感じる、悪いことをしたように感じて自分を責める)
  • 希死念慮(死にたくなる)

…などの症状が出ます。

身体面では…

  • 不眠(眠れない、朝早く目が覚めてしまう)
  • 過眠(起きられない、眠りすぎる)
  • 食欲不振
  • 倦怠感(体がだるい)
  • 疲れやすい
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 身体の痛み

…などの身体の症状が出ます。

周辺の人から見て分かる変化もあります。

  • 表情が暗い
  • 涙もろくなった
  • 反応が遅い
  • 落ち着かない
  • 飲酒量が増える

これらの精神的・身体的変化は、どちらが先に出るというわけではなく、先に身体的変化が現れる人もいれば、精神的変化が先に出現する人、精神面・身体面の変化が同時に出る人など、ひとそれぞれ違いがあります。
このような変化が、2週間以上ずっと続くと、「うつ病」のサインかもしれません。
「うつ病」は、早めに治療を開始するほど、回復も早いと言われているため、無理をせず、早めに専門機関に相談し、ゆっくり休養をとることが大事です。
また、「うつ病」は、性格的な弱さの現れではなく、ものの考え方や行動の仕方、過去のトラウマなどを反映しているわけではありません。
人が一生の間にうつ病を発症する確率は、社会的階層、人種、文化とは関係がないと言われています。

「うつ病」にはどんな治療法があるのか?

うつ状態を起こす要因がはっきりしている場合は、その原因を取り除きます。
例えば身体の病気が原因である場合は、その治療を行います。
「うつ病」の治療は、「十分な休養」、「薬による治療」、「精神療法」の3つがあります。

十分な休養
まずはゆっくり休み、心と身体をリフレッシュさせます。家でなにもせず、ゆったり過ごすことが大切です。

薬による治療
SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)、三環系抗うつ剤などのほかに、抗不安薬や睡眠導入剤などの服用が有効といわれています。

精神療法
「認知行動療法」は、うつ病の患者さんによくみられる「否定的な思考パターン」を客観的に整理し、「柔軟な思考パターン」に変えていくのに役立ちます。

これらの治療方法を患者さんのうつ状態に合わせて、複合的に実施していくことが回復へのカギとなります。

 

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