休日プログラム「不安に対処する」

休日プログラム

今日は土曜開所日です!

今回は、不安の感情への対処についての課題をやってもらいました。

不安の裏にある願望

不安という気分の裏には、必ず「こうしたい」という願望があります。

例えば、友人の結婚式でスピーチを頼まれたとしましょう。

そのことで、「うまく話せるかな」「変な話をしてガッカリさせないかな」という不安が浮かんできたとします。

これらの不安はそれぞれ、「良いスピーチをしたい」「友人に喜んでもらいたい」という願望の裏返しです。

この不安が適度なものであれば、ほどよく緊張感をもって当日を迎えることができるのですが、不安が強ければ当日に至るまで辛い状態が続きますし、本番でも言葉が出なくなってしまうなどのトラブルの原因となります。

気分本位と目的本位

前提として、不安への対処とは「不安を感じなくなること」ではありません。
不安という感情そのものは、必要な準備が足りていないことを示す警告であり、問題なく過ごしている人でも日々様々な不安を覚えているものです。

重要なのは、不安を覚えながらもやり抜くことができるようになることであり、それができればおのずと感じる不安感も減っていきます。

不安に潰されてしまうか、不安を感じながらも進んで行けるかを分けるカギは、「気分」と「目的」のどちらを優先するのかにあります。

気分本位とは

気分本位とは、「何をするか」「何が大事か」よりも、自分の気分が「良いか」「悪いか」に注目している状態です。

気分本位な状態の人が強い不安を感じると、「この気持ちは不快だ」という意識から、不安から逃れることでいっぱいになってしまいます。

しかし、不安から逃れようとすればするほどかえって不安は強まり、その状態から抜け出せなくなってしまいます。

以下のパターンのいずれかに当てはまる人は、気分本位な状態になってしまっているので注意してください。

① 自分の内面に意識が向く

不安な気持ちをどうにかしたいと気持ちを内面に向けた結果、

「言い間違いをしてからかわれたことがある」「またみんなに笑われるに違いない」

など、不快感を伴う過去の経験や望ましくない未来の姿を思い浮かべてしまう。

② 現実に合わない考え方になる

「すべての列席者を感動させたい」「みんなの心に残るスピーチをしなければいけない」

といった現実的に考えれば起こり得ない「完璧」を追い求めるなど、

実際には不可能な目標を立ててしまうことで、不安を強めてしまう。

③ 物事を否定的に見る

不安が高まっていることであらゆることを否定的に見るようになってしまい、

「自分のスピーチはアラばかりだ」「きっとみんながっかりするだろう」

など、良い面に目が向かずに悪い面ばかりを探してしまったり、ネガティブな想像をしたりしてしまう。

④ 本来の目的を避けるようになる

肯定的な視点を持つことができず、不安を膨らませていくと、

「スピーチ内容を省略して済ませよう」「理由を付けてスピーチを断ろう」

など不安の原因を回避しようとして、「良いスピーチがしたい」といった元の願望を諦めてしまう。

目的本位とは

目的本位とは、不安に目を向けるのではなく、「良いスピーチをしたい」といった目的に目を向けている状態です。

目的本位な状態の人が不安を感じた場合には、「不安をなくそう」とするのではなく、「目的を達成するために自分に何ができるか」を考え始めます。

目的本位な人の考え方は、気分本位な場合とは真逆になります。

願望を達成しようとすると、目標を具体的にするために周囲に目を向けるようになるため、外的な目線を持ち、客観的な事実によって考えられるようになります。

自分に実行が可能な範囲で行動を起こそうとするため、自分の弱みを受け入れて、非現実的な目標を立てることがありません。

物事を肯定的に見ることができるようになり、自分の良い面や強みを活かすことができます。

こうして願望の達成を目指して動いていくことで、不安にとらわれることなく、目的の達成を目指すことができるのです。