自閉症スペクトラム(ASD)ってどんな病気?-⑥

前回の「自閉症スペクトラム」と「自閉症スペクトラム障害」の線引き、「自閉症スペクトラム」の人はどれくらいいるのか?はこちら

「自閉症スペクトラム(ASD」であることが分かったら、必要な支援を整えていくことが大切です。

医療機関や相談機関、幼少期なら療育期間などを利用し、発達の見通しをつけます。

生活の調整をしてたり、療育法や支援制度を利用したりします。

将来を見通して、支援することが重要です。

「自閉症スペクトラム(ASD)」の人たちをいかに支えるか

支援の基本

「自閉症スペクトラム」の子どもに、なぜ支援が必要なのか。

なぜなら、適切な支援があれば、二次的な問題の発生を防げるからです。

  • この年齢ならこのくらいできるだろう
  • 何度も注意すればそのうち理解するだろう
  • コツコツ努力するよう言い聞かせよう
  • 甘やかさずしっかり練習させよう

など、その子が「自閉症スペクトラム」であることを周りの大人たちが理解していないと、特性があって苦手なのに、「努力不足だ」と不当に叱責されます。

それがストレスとなり、二次的な問題が起きやすくなります。

「自閉症スペクトラム」の子に、支援は必要ですが、その前にその子の特性を理解する必要があります。

その上で、基本的な支援を行い、さらに専門的な療養や行政の支援などを必要に応じて活用していきます。

理解
自閉症スペクトラムの一般的な特性、我が子の個性、今後の発達の見通し、現在の問題点などを、専門医の説明・意見を聞いて理解します。
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支援
子どもの状態を理解してから、それに合わせて支援を始めましょう。無理解なまま支援を始めると見当はずれの特訓のようになってしまいます。
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療育
支援は家庭で出来る一般的なもの。加えて、医師、心理士、作業療法士、言語聴覚士など、専門家のもとで療育(治療教育)を受けることも可能です。
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制度の利用
自閉症スペクトラムの診断を受けている場合、福祉や教育などの支援制度を利用できます。特徴が強く表れている場合や、知的障害が併存している場合は、一般的な支援だけでは、子どもが社会生活になかなか適応できません。子どもの状態に応じて検討します。

支援で変わること、変わらないこと

「自閉症スペクトラム」に早く気づき、支援を始めれば、子どもの生活上の困難が減り、二次的な問題を予防することができます。

その支援によって、対人関係の問題がある程度改善したり、知的能力が上がったりする子もいます。

しかし、そのような変化は、「自閉症スペクトラムが治った」ということではありせん。

あくまでも生活面の変化であり、「自閉症スペクトラム」の特徴が消えたわけではないことを理解しておきましょう。

得意なことを伸ばす
規則を守ること、こだわりを持って活動すること、事実を記憶することなどは得意。その領域のスキルを支援によって伸ばしていく。
  苦手なことは補う
対人関係の調整や、場の状況に応じた行動などは苦手。支援をしても伸ばしにくいので、その点は周りの人に協力を頼めるようにしていく。
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生活上の困難が減る
得意なこと、苦手なことを理解、支援し、生活を調整していけば困難は減る。生活上の支障を感じにくくなり、自己肯定感が高まる。

 

特徴はなくなるのか?
「自閉症スペクトラム」の特徴は、得意なことも、苦手なことも生涯続きます。
発達障害の子どもを長期的にみた調査でも、「自閉症スペクトラム」という集合体のなかでの変化はみられるものの、特徴は残る、という結果が出ています。
当初、他の発達障害とみられていた子どもが、のちに「自閉症スペクトラム」と診断されるケースもあります。


次回は、「自閉症スペクトラム」のさまざまな支援方法を詳しくみていきます。

 

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