認知行動療法講座「自由な行動を妨げるスキーマ」
認知行動療法講座
前回は、サンプルを用いてアクションプランを作る練習をしました。
今回は、自動思考が浮かぶ原因となっている「スキーマ」について考えていきましょう。
自由な行動を妨げるスキーマ
ここまで見てきた”自動思考”は、ある特定の場面で浮かんだ無意識の考えでした。
自動思考で浮かぶ考えは、人によって異なります。
その理由は、その人の持つ”スキーマ”の違いにあります。
スキーマとは、その人の持つ人生観や人間観などといった、「考え方の根底や前提」となるものです。
その正体は、様々な体験をしながら生きてきた中で形成された個人的な”思い込み”が積み重なってできたものです。
人は、多数のスキーマを持ち、それによって物事を判断しています。
例えば、「朝起きて顔を洗い、仕事に行く」という流れ。
これも、「出かける前には顔を洗うものだ」「仕事には毎日行くものだ」といった、”思い込み”を元に判断し、行っているのです。
スキーマは、それそのものが悪いものではありません。
上記の流れも、もしもスキーマがなければ、毎朝毎朝「顔は洗った方が良いかな?」「仕事には行った方が良いかな?」と考える必要が出てきてしまうため、中々行動に移すことができなくなってしまうでしょう。
しかし、ネガティブな気持ちに繋がる自動思考を生みやすいスキーマを持っているのであれば、話は別です。
例として、「自分は人から愛されない」というスキーマを持っていたとしましょう。
このスキーマを持つ人が他人から好意的な態度を取られた場合、どうなるでしょうか?
この人にとっては、「人から愛されない」ことが”前提”となっているため、好意的な態度というものはこの前提と矛盾してしまいます。
そのため、「立場上ああするしかなかったのだ」とか、「裏があって好意的に見せているのだ」といったように考えることで、整合性を保とうとしてしまうのです。
その結果、どんなに人と関わっても仲良くなったり、信頼できる関係を作ったりすることができません。
そのため、人づきあいでストレスを溜め込んでしまったり、いざという時に頼れる人がおらずに困ってしまったり、といった問題に繋がってしまいます。
自分にとって悪影響を及ぼすスキーマは、意識して変えていく必要があります。