認知行動療法講座「自動思考とストレス」
認知行動療法講座
前回は、初回に戻り、認知行動療法とはどのようなものか、説明しました。
今回は、認知行動療法において重要となる”自動思考”と、ストレスとの関係性についてお話します。
自動思考とストレス
認知行動療法を行うにおいて、重要となるキーワードが「自動思考」です。
前回のプログラムにおいて、気持ちは考え方に影響されるといった説明をしました。
この、この考え方に当たるものが「自動思考」です。
自動思考とは、単純に言ってしまえば「意識せず、ぱっと浮かんでいる考え」のことです。
例えば、道端で犬を見たときに浮かんだ以下の考えは、すべて「自動思考」です。
①「可愛いな。近寄って撫でてみたい」
②「危ない!近づいたら噛まれてしまうかもしれない」
③「なんでこんなところに犬がいるんだ。飼い主は何をやっているんだ!」
同じ状況でも、人により自動思考の内容は千差万別ですが、ここで浮かんできた考えによって、気分や行動には変化が起こります。
①の考えが浮かんでいるのなら、その場でストレスを受けることはないでしょうが、②なら不安や恐怖、③なら怒りの感情が湧いてきて、ストレスになってしまうでしょう。
とはいえ、そういった感情に繋がる考えを持ってはいけないというわけではありません。
例えばこれが野良の犬であれば、実際に噛まれてしまう可能性もあるため、①の考えのほうが危険、ということもあるでしょう。
しかし例えば、これがしっかりと柵に囲まれた家の庭で飼われている等ということであればどうでしょうか。
それでもなお、近づくのは怖いということでその道を避けて通る、なんてことになっていたら、やや考えすぎで、不便になってしまっているかもしれません。
認知行動療法を使うことで、自分の思い込みによって、実際に起こっている以上に悪い事態を想定してしまっていることによって浮かんでくるストレスに対処することができます。