認知行動療法講座「シーン別認知の歪みチェック③」
認知行動療法講座
前回、前々回と、認知の歪みを探す練習をしています。
認知の歪みの判断は難しいので、今日も引き続き練習を行います。
シーン別認知の歪みチェック③
以下のシーンにおける各自動思考について、含まれる認知の歪みについて考えてみましょう。
仕事で思うような結果が出せなかった
毎月発表される営業成績。同期のなかではいつもトップだったのに、今月は同僚に初めてトップの座を奪われた。
自動思考A:「入社して初めて負けた!もう自分の力は認めてもらえないんだ・・・」
感情:絶望、みじめ
自動思考B:「彼は何でもできる・・・。もう太刀打ちできないかもしれない」
感情:無力感、むなしい
自動思考C:「くやしくてしょうがない。もう営業成績なんて気にするのはやめだ!」
感情:イライラ、くやしい
解説
自動思考Aに含まれると考えられる認知の歪みは、白黒思考です。
一度の失敗で絶望的な気持ちになってしまい、「もう意味がない、価値がない」と考えてしまっているようです。
自動思考Bに含まれると考えられる認知の歪みは、過大評価、過小評価です。
これまでの自分にもちゃんと実績があるにもかかわらず過小に評価し、相手の力を過大に捉えることで、
一度負けただけで相手を勝ち目のない人と決めつけてしまっている状態です。
自動思考Cに含まれると考えられる認知の歪みは、情緒的な理由付けです。
負けたことより、くやしいという気分に支配されて自暴自棄になり、いままで頑張ってきた努力を感情で放り出してしまっています。
今回のシーンについて、認知の歪みを含まない考え方の例を出すと、
「彼は今月頑張っていたもんな。いいところを吸収してまたがんばろう」
といったものが挙げられます。
ライバルに負けた・・・それだけで絶望的な気持ちになったり、もうダメだと落ち込んだりするのではなく、相手の努力の結果だという事実を受け入れて、自分が築いたこれまでの実績も信じてあげることが大事です。
そうすれば、一度の失敗で台無しになるのではなく、またがんばるための励みとして出来事を受け止めることができます。
負けてしまったことではなく、相手の努力に目を向けましょう。
そして、自分のこれまでの実績を振り返り、次に向けてがんばるためのきっかけにすれば前向きになれるはずです。