生活保護とは① ~そもそも生活保護ってどんなもの?~
就労移行支援事業所リスタートの教えて!リス太くんシリーズ
目次
第138回 教えて!リス太くん
久しぶりの教えて!リス太くん
今日は生活保護について見て行くよ!
生活保護ってそもそもどんなもの?
日本国憲法の第25条では、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
「国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」
と規定されています。
しかし、人が暮らしていく中で、家庭の事情や病気などの理由により、生活が困難になってしまうことがあります。
そんな時、憲法で規定された「最低限度の生活」を保証するためにあるのが生活保護制度です。
生活保護を利用することによって、生活保護費の受給の他、必要に応じて様々な扶助や補助を受けることができ、
それによって生活の基盤を取り戻し、再び自立した生活を行えるようにすることが生活保護制度の目的です。
生活保護の受給条件
生活保護を受けるためには、個人ではなく「世帯」が条件を満たしている必要があります。
世帯の全員が、最低限度の生活の維持のためにあらゆる努力をしても、なお生活できない場合に初めて生活保護費の受給が行われます。
あらゆる努力とは、以下のものを指します。
資産の活用
「生活に必要不可欠なもの」を除くあらゆる資産を売却しても生活ができない場合でなければ、生活保護を受けることはできません。
預金や生命保険の他、土地・家屋・貴金属などの資産も売却の対象となります。
最低限生活するための家やその家が建つ土地の所持は認められる場合もありますが、必要以上に大きな邸宅に住んでいる場合や、住んでいる場所の家賃が高い場合には引っ越し等が必要になります。
自動車に関しても、基本的には売却しなければいけませんが、自動車でなければ通勤や通院が不可能な場合などやむを得ない事情がある場合には特例として所持が認められる場合もあります。
能力の活用
この場合の能力とは、働くための能力のことです。
働くことのできる体力やスキルがあるにも関わらず働いていない場合には、生活保護を受けることはできません。
高齢、妊娠している、病気、障害を持っているなどの理由で働けない場合には、判断してもらいやすくなります。
「世帯」が条件であるため、受給申請をした当人だけでなく、同一世帯に働く能力があり、世帯の生活を助けることができる人がいないことが条件となります。
扶養義務者の扶養
三親等内に援助できる人がいる場合は、生活保護を受けることはできません。
親や兄弟、親戚などから援助が受けられる場合にはその分だけ生活保護費は減らされますし、生活保護費を超えるほど援助を貰える場合には、生活保護の受給条件を満たさくなります。
なお、「扶養義務」という名前ではありますが、援助は強制ではありません。
親戚などがみな援助できないということが確認できた場合、生活保護の受給条件を満たすことになります。
他の制度の活用
生活保護以外の制度等により給付を受けられる場合には、そちらを優先する必要があります。
雇用保険・健康保険・各種年金・児童扶養手当・高齢福祉手当・身体障害者福祉手当などが当てはまります。
生活保護の受給条件まとめ
1.まったく資産を持っていない
2.援助を受けられる身内・親類がいない
3.病気・ケガなどの理由でやむなく働くことができない
4.上記①~③の条件を満たした上で、月の収入が最低生活費を下回っている
これらの条件を満たしていることが、生活保護を受給するための最低限必要な条件となります。
生活保護の申請
受給条件を満たしていたとしても、申請をしなければ生活保護を受けることはできません。
生活保護の申請窓口は、現在住んでいる地域の福祉事務所です。
福祉事務所の一覧は、厚生労働省のページから確認することができます。
厚生労働省「生活保護と福祉一般:福祉事務所一覧」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/fukusijimusyo-ichiran.html
申請の流れ
生活保護の申請から決定までには、「相談」「申請」「調査」「決定」の4ステップがあります。
① 相談
まずは福祉事務所まで事前相談に行きます。
この時点で必要なものは特にありませんが、現在の資産状況を説明できるようにまとめておくとスムーズです。
生活に困っており、生活保護を受けたいという話をすると、生活保護申請書を渡されます。
ただし、不正受給防止のため、地域によっては簡単には申請できないと言われるケースもあります。
② 申請
相談に行った際に渡された、生活保護申請書を福祉事務所に提出します。
生活保護申請書の内容は、住所、氏名、扶養の有無、家族状況、申請理由などです。
また、この際生活保護申請書の他に、以下の書類が必要となります。
収入申告書
資産申告書
同意書
給与証明書
地代・家賃証明書
扶養義務者に関する届出書
③ 調査
担当者との面談や家庭訪問により、生活保護受給の条件を満たしているかどうかの調査が行われます。
調査の内容は以下の通りです。
・生活状況
・世帯員の健康状況
・扶養義務者の状況
・収入や資産の状況
今までの生活状況について聴取されるほか、預貯金や生命保険の加入状況を金融機関や保険会社に照会し、調査が行われます。
④ 決定
調査が終わると、福祉事務所から決定通知が来ます。
受給の可否が決定するまでの期間は2週間程度であり、遅くとも30日以内には決定されます。
受給が決定した場合には、国民健康保険証を返却する必要があります。