リス太と学ぶ認知行動療法 ~自虐的思い込み~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

今日からは、自虐的思い込みについてやっていくよ!
自虐的思い込み・・・って、なに?
苦痛を伴う気分変動と人間関係の衝突に対して、自分を脆弱にする考え方の事だよ!
うーん? よくわからないよ!
それじゃあじっくりと説明していくよ!

 

10の一般的な自虐的思い込み

まず最初に、一般的な自虐的思い込みを10個挙げてみたよ!

 

感情の完全主義 「私は常に幸福感と自信を持ち、感情をコントロールできなければならない」
業績の完全主義 「私は決して失敗したり、ミスを犯してはならない」
自己認識の完全主義 「人々は、欠点のある脆弱な私を愛することはないし、受け入れてもくれない」
認められないことまたは批判の恐怖 「私が価値のある人間であるためには、みんなに認められることが必要だ」
拒絶への恐怖 「誰からも愛されないのなら、私の人生は生きるに値しない」
孤独への恐怖 「1人でいると、みじめで満たされていないと私は感じてしまう」
失敗への恐怖 「私の価値は、実績(または知性、地位、魅力)で決まる」
衝突への恐怖 「愛する者同士が争ってはならない」
否定的感情への恐怖 「私は、怒ったり、心配したり、不適格と感じたり、嫉妬を感じたり、脆弱と感じたりしてはならない」
全能感 「人々は、いつも私が期待する通りに振舞わなければならない」

 

これが自虐的思い込みかあ・・・。
これって、否定的思考とは違うものなの?
そうなんだ。否定的思考は、不幸せに感じる時に生じるものだけど、これらの自虐的思い込みは、どんな時もついて回る考え方なんだよ。
その人の価値観や考え方の一部になっているってことだね。
そうそう。そして、これらの考え方は、健全なものもあれば有害になってしまうものもあるんだ。
例えばどんな感じなの?
そうだね。「価値ある人間であるためには、成功しなけれなならない」という思い込みを持っていると仮定してみようか。
ええっ?それって当たり前の事じゃないの?
うん。そう考えている人は多いだろうね。怠けて非生産的な人間は良い人間ではなく、社会的に軽蔑される、という考え方だ。
逆に、勤勉で生産的であれば価値のある良い人間となる・・・ってことだよね?
問題のある考え方には思えないけど・・・。
確かに、この考え方には利点があるね。
ベストを尽くして懸命に働いて、成功を重ね、生産的になるほど自分が価値のある人間と感じることができるだろう。
ほら、やっぱり良い考え方なんじゃないか!
でもね。この考え方には危険なところもあるんだ。
えっ、危険!?
この自虐的思い込みを持っている人が、もしも失敗してしまったらどうなるだろう。
それは・・・落ち込んでしまったり、自分には価値がないって思ってしまうかも。
自分がこれくらいできて当然だ、と思っている成功を収めることができなかったら、他の人に劣等感を持ったり、嫉妬してしまうかもしれないね。
うーん、なるほど。自虐的思い込みには、確かに健全で生産的な側面と、不健全で破壊的な側面の両方が備わっているんだね。
他にも例はある?
それじゃあ、仕事より、人間関係に自尊感情の基礎を置く人について考えてみよう。
この場合の自虐的思い込みは、「価値ある人間であるためには、愛される人間でなければならない」というものだよ。
逆に言えば、「人に拒絶されたり、愛されることのない人間には価値がない」という考え方だね。
うーん、僕、この考えも持っているかも・・・。
友人が多く、気遣ってくれる人たちとの関係があれば、幸せと生きがいを感じる。
そんな考え方だけど、利点としてはどんなものがあると思う?
ええと、人間関係を良好に保つために、相手のことを高く評価したり、大事な人と衝突しそうになったら問題解決のために努力することに繋がるし、何と言っても、愛されている、受け入れられているという安心感を得られるのは良いことなんじゃないかな。
うんうん。そうだね。でも、それもまた、諸刃の剣なんだ。
大切に思う人から拒絶されると、自分は無価値だ、ダメな人間だと考えてしまう・・・っていうことだよね。
そうだね。さらに、誰かが自分に対して怒っているとき、その人の意見を聞いて原因を探ろうとせずに衝突の回避だけを考えてしまったり、友人や同僚から批判されたときに、自己防衛的な態度を取ってしまう、というようなことにも繋がるんだ。
そうか。自尊感情が危険にさらされたときに、その場をなんとかしようとして大本の解決ができなくなってしまうんだね。

 

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