選択理論の考え方で問題に対処してみよう! ④ ~上司と意見が合わない~

就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。

今回も、選択理論の10の原理に基づいて、職場で起こり得る問題に対処する方法を紹介します!

選択理論の10の原理

(1)私たちがコントロールできる行動は唯一自分の行動だけである。
(2)私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて情報である。その情報をどう処理するかは、それぞれの選択である。
(3)長期に渡るすべての心理的問題は、人間関係の問題である。
(4)問題のある人間関係は、常に私たちの現在の生活の一部である。
(5)過去に起こった苦痛は私たちの現在に大きく関係しているが、この苦痛な過去に再び戻ることは、いま私たちがする必要のあること、すなわち現在の人間関係の改善には貢献できない。
(6)私たちは、遺伝子に組み込まれた欲求、すなわち生存、愛と所属、力、自由、そして楽しみ、これら5つの欲求によって駆り立てられている。
(7)私たちは、上質世界に入っているイメージ写真を満足させることによってのみ、こうした欲求を満たすことができる。
(8)私たちが誕生して死を迎えるまでにできることはすべて、行為、思考、感情、身体反応、これらのうちいずれかの行動である。
(9)すべての行動は、動詞、あるいは不定詞や動名詞によって表現され、最も認めやすい要素によって呼ばれる。
(10)すべての行動は選択されたものであるが、私たちが直接コントロールできるのは行為と思考だけである。

Case4:上司と意見が合わない

Kさんは、食品メーカーの商品開発部に勤めています。

新商品の開発は、企画書をつくり、試作品を製作し、社内で味見やモニタリングをし、役員にプレゼンテーションし・・・と、多くの行程を経た上で、採用されたものが初めて製品となります。

ここ最近は、海外メーカーの進出もあり競争が激化し、開発スピードがこれまでよりも重視されるようになりました。

売れ筋商品はすぐに真似られてしまうので、独自性のある商品を次々投入していかなくてはいけません。

また、売れなかった商品はすぐにラインナップから消えてしまうようになりました。

Kさんは、この状況に対応するため、試作品をたくさん作って、モニターの反応からトライアンドエラーを繰り返すことが重要だと考えています。

しかし、Kさんの上司は計画やコストのことを重視しており、Kさんの考えに賛同してくれません。

売れるかどうかはやってみなければわからないし、開発を自由にやらせてほしいと思っているKさんは、上司の考えに不満を持っています。

この悩みに対して、選択理論の考えを使ってどのように対処できるでしょうか。

選択理論で対処してみよう!

今回のポイントは、以下の2点です。


①:Kさんの満たされていない欲求を把握する。
②:欲求が満たされていない原因を考える。

満たされていない欲求を把握する

さて、今回の満たされていない欲求は何でしょうか。

ここではいくつかの可能性があります。

まず、自分のやりたいように開発ができていないために満たされていない自由の欲求

次に、競合が追い上げてきているにも関わらず、売れる商品が作れていないと感じていることによる力の欲求

さらに、アイデアがあるのにコストなどの制約でそれが表現できないことから、楽しみの欲求が満たされていないという可能性も考えられますね。

欲求が満たされていない原因を考える。

では、これらの欲求を満たすためにはどんな方法があるでしょうか。

欲求を満たすためのアプローチは、大きく分けて2つあります。

1つは、「今発生している問題を解決する」というもの。

もう1つは、「違う方法で欲求を満たす」というものです。

また、欲求が満たされていない原因については、やはりコントロールできないことに焦点を当てていることが考えられます。

つまり、計画やコストを重視するという上司の考え、ひいては会社の方針は、Kさんが直接コントロールできることではない、ということですね。

もちろん、会社に対して「競合の追い上げが激しい今、必要なのは開発スピードを高めることだ」と要望を出すことは可能ですし、1つの選択肢です。

しかし、それはイコールそれをすれば会社が方針を変えるという意味合いではありません。

自分の考えを伝えるのは良いですが、判断するのは自分ではなく会社であるということを前提に置いていなければ、ストレスが増加してしまうでしょう。

相手は間違っており、自分の考えが正しいという考えで望むのではなく、相手がどうしてそう思っているかを考え、受け入れた上で自分の意見を伝えるようにしてみましょう。

例えば、上司は売上が良くないからこそ、開発費を抑えなければいけないと考えているのかもしれません。

それであれば、業界の売れ筋商品のデータなどの根拠を用意したうえで、コストを削減するより開発を速めた方が良いという理由をきちんと説明することを目指す、などという選択肢もあるはずです。

 

restart_banner