自分の人生を支配している「思い込み」 ④ ~人生に大きな影響を与える”禁止令”~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。

自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。

ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。

禁止令

今回は、アメリカの医学博士であるグルーディング夫妻が明らかにした、“禁止令”というものを紹介したいと思います。

禁止令とは、読んで字のごとく「これをしてはいけない」という命令です。

ここで紹介する禁止令は、いずれも両親とのかかわりの中で、小さいころに作られたものです。

しかし、親から直接禁止されたものが禁止令なのかというと、実は必ずしもそうではありません。

親がなんとなしに使った言葉を、子が「○○してはいけないんだ」という形で受け取ってしまう場合があるのです。

つまり、禁止令というのもまた、自分で作った”思い込み”に過ぎません。

ところが、禁止令というものは、成長してからも残り続け、無意識のうちに人生を縛ってしまっうことがあります。

そんな禁止令から抜け出すため、13種類の禁止令を紹介していきます。

何もするな

「危ないからそこにいってはいけません」
「ケガをするからその遊びはやめなさい」
など、厳しいしつけや過保護による注意が重なることで生まれる禁止令です。
常に行動が規制されていると、やがて「自分で動ないほうがいいんだ」という”前提”が生まれてしまいます。
親のために従順な子どもになった結果、成長してからも自分の意志で行動することに自信を持てず、強い不安を感じるようになります。
そうなると、社会に出て、自分で考え行動することが求められるようになった際には、「指示を待つな」などと言われるようになってしまうのです。

お前であるな

幼いころに、親の言葉からアイデンティティを否定された経験から生まれる禁止令です。
わかりやすい例としては、「本当は、男の子(女の子)が欲しかった」などと、自分の性別を否定された場合などです。
この禁止令があると、自分自身に自信が持てなくなり、周りの評価や常識、世間体といったものを過剰に気にするようになってしまいます。

子どもであるな

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからしっかりしなさい」など、下に弟妹がいたために早くから自立を促された場合に生まれる禁止令です。
小さいころから子どもでいないでしっかりするというのは一見いいことに思えますが、のびのびと自由に過ごす経験ができないため、過剰に責任感が強くなってしまう傾向があります。
その結果、「自分がやらなければいけない」となんでも背負い込んでしまって精神的に疲弊したり、ルールに執着しすぎて周囲とうまくいかなくなったりしてしまうかもしれません。

成長するな

「子どもであるな」の禁止令とは逆に、過保護な親になんでもやってもらっていたような場合に生まれる禁止令です。
この場合、自分でできることであっても、親がやるなら自分ではやらない方が良いという”前提”無意識のうちに作られます。
その結果、成長し、新たなことを学ぶのをやめてしまい、人に依存するようになってしまいます。

感じるな

転んで泣いていたら、「我慢しなさい!」と抑え込まれてしまったなど、素直に欲求や感情を表に出すことを制限されていた場合に生まれる禁止令です。
親のために自分の感情を抑え込むため、物事に対して無関心になったり、泣いたり怒ったりという風に感情を表に出せなくなってしまいます。
また、声に抑揚がない、表情が乏しいなどと言われる場合にも、この禁止令が影響しているかもしれません。

考えるな

「黙って言うことを聞いていろ」というようにして、自分で考えることを制限されていると生まれる禁止令です。
論理的に考えたり、冷静に判断することができないため、人に言われた話やネット上の情報などをすべてそのまま信じようとしてしまいます。

近寄るな

「忙しいから後にして」などというように、親に距離を置かれていると感じたことで生まれる禁止令です。
親に対して自分の気持ちを打ち明ける経験がないと、大人になってからも自分の本心を打ち明けることができなくなってしまいます。

成功するな

上手くいった時には褒めてもらえないにも関わらず、失敗した時だけ親に声をかけられた、というような場合に生まれる禁止令です。
この場合、子は成功を目指そうとするのでなく、親に気にかけてもらえるよう、成功しないように動くようになってしまう場合があるのです。
また、「いつもいつも肝心なところでダメだね」といった言葉から、「自分は成功できないんだ」という思い込みが作られてしまう場合もあります。
これらの禁止令を持っていると、無意識的に成功するためのアプローチをせず、失敗につながる選択をしてしまいます。

欲しがるな

幼いころに親に経済的な負担をかけてしまったなど、自分のために苦労している家族を見て育つことで生まれる禁止令です。
自分よりも他の人のことを優先してしまうため、例えば自分か他者かのどちらかしか手に入らないものなどがあれば、譲ってしまうでしょう。
もちろん、それ自体が悪いことと言うわけではありませんが、常に自分を二の次にしてしまえば、幸福を自ら壊してしまうことになるでしょう。

健康であるな

親が病気がちな兄弟の面倒ばかり見ていたといった理由から、”健康であると自分を見てもらえない”と考えるようになり生まれる禁止令です。
病気やケガについて過剰にアピールしたり、突飛な行動で注目を集めようとする傾向があります。

重要になるな

テストでいい点を取ったときなど、うまくいったときに親に興味を持ってもらえなかったことによって生まれる禁止令です。
これが重なるにつれて、”目立った活躍をすることを望まれていない”と考えるようになってしまい、例えばリーダーになるなど責任を負う立場になることを避けるようになります。

仲間になるな

「あの子と遊んではいけません」というように、親から交友関係に干渉を受けることで生まれる禁止令です。
この禁止令があると、グループに溶け込んでいくことが苦手になり、集団行動に悪影響を及ぼすことがあります。

存在するな

「お前さえいなければ良かったのに」といったように、存在そのものを否定されてしまうことで生まれる禁止令です。
自分の身体や命といったものを大事にできず、例えばアルコールへの強い依存など、身を滅ぼす選択をしやすくなってしまいます。

 

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