自分の人生を支配している「思い込み」 ⑤ ~人生に対する”基本的な構え”~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。

自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。

ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。

基本的構え

前回、親とのかかわりの中で作られる”禁止令”について紹介しました。

禁止令が大きな影響を及ぼすものとして、「基本的構え」というものを今回は紹介します。

基本的構えとは、人生における「自分」及び「他者」に対する捉え方です。

何をOKとし、何をNGとするかで4つの構えに分けて考えることができ、持っている構えによって人とのかかわり方が大きく変わってきます。

「私もOK、あなたもOK」

自分も他者も肯定する構えです。

自分に自信があるために前向きでちょっとの失敗で落ち込みません。

一方で、他者のこともしっかりと認めることができるため、自分に自信があっても、それを他者に押し付けることをしません。

自分は自分、他者は他者として双方を受け入れるため、ちゃんと自分のことを大事にしながら、周囲を気遣うことができます。

この構えを持つ人は、「この世に生きているものはすべて価値がある」「自分が嫌なことは、他の人にやらない」といった考え方になります。

周囲とも良好な関係を築きやすく、生きやすい構えであると言えます。

「私はNG、あなたはOK」

自分に対しては否定的だが、他者に対しては肯定的な構えです。

過去に大きな失敗の経験を持つ人が持つことが多い構えで、「自分には能力がない」などといった前提を持ってしまっています。

自己評価が低いために、何かチャンスがあったとしても「どうせ自分じゃだめだ」と考えて挑戦できません。

また、いざ勇気を出して挑戦してみても、「失敗するに違いない」と考えているために思うように動けず本当に失敗し、「やっぱり自分なんてダメなんだ」と認知を強めてしまいます。

さらに、成功したとしても、「まだまだ足りない」「あの人のほうが良くできている」などと考えてしまうため、うまくいったことをうまくいったと認められません。

自分に自信がないために、誰かほかの人間に支配されることを望む場合もあります。

例えば、周囲から見たらひどく理不尽な要求であっても黙って従ってしまっている場合には、この構えを持っている可能性があります。

この構えを持つ人は、「自分は大した人間じゃない」「周りの人はみんな素晴らしい人ばかりだ」といった考え方になります。

「私はOK、あなたはNG」

自分は肯定するが、他者のことは否定する構えです。

過保護に育てられ、望んだものは何でも手に入った一方で、叱られる経験がなかったことなどから、自分の考えや行動を絶対のものと考えるようになってしまった状態です。

自分とは違う考えや意見を持つ人がいると、「自分は正しく、相手は間違っている」と考え、無理やり排除して、自分の考えを押し通そうとします。

場合によっては、他者の成功が許せず、成功している人を見ると欠点を探して攻撃しようとしてしまう場合もあります。

また、イメージからすると意外かもしれませんが、正義感が強く見える人がこのタイプであることもあります。

自分が「正しい」と考えることから外れた行いをする人が許せず、直そうとする行いは、実のところ「私はOK、あなたはNG」の構えによるものかもしれません。

「私もNG、あなたもNG」

自分のことも、他者のことも否定する構えです。

自分に自信がないために己の考えで行動をすることができない一方で、他者のことも信用できず、言われたとおりにすることも拒みます。

この構えを持つ人は、「生きているのがむなしい」「人生なんて無意味だ」といった考え方になってしまいます。

また、人間関係への影響としては、非常に両極端になります。

自分も他者も信じられず、自分の殻に閉じこもって一切の人間関係を拒否してしまう人もいます。

一方で、自分のことも他者のことも信じられないが、この人だけは というように、特定の誰かに完全に依存してしまい、その人の言うとおりに生きようとする人もいます。

構えによって世界の解釈が変わる

幼少期の禁止令から作られた”構え”は、本人にとっては当たり前の「前提」にほかなりません。

生きていくうえで、自分自身や他者に対する捉え方を疑うようことなどないでしょう。

しかし、この”構え”が他者との関係や生きやすさに大きな影響を与えていることを知ることは、対人関係での問題を解決するために必ず役立つはずです。

 

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