自分の人生を支配している「思い込み」 ⑭ ~思考実験で思い込みから抜ける~
就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。
自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。
ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。
思い込みと思考実験
思考実験という言葉があります。
言葉の通り、頭の中で想像することによって行う実験のことですね。
この思考実験を用いることで、思い込みに対処することができることがあります。
思い込みは、思考が偏ってしまい、物事を一方向からしか見られなくなることで起こります。
逆に言えば、さまざまな角度から思考を見ることが可能になれば、思い込みから脱却することができるのです。
そのために有効なのが思考実験です。
何か、自分が抱えている問題があるときに、思考実験によって別の視点を獲得することにより、それが思い込みであったことに気づける場合があるのです。
実験①:時間軸を変える
時間軸を変えるとは、”未来”や”過去”の自分について、頭の中で想像してみるということです。
例として、仕事の場面を考えてみましょう。
会社において、任された仕事はほぼすべて、納期、あるいは締め切りといった期限が存在します。
その中で成果を出すということは、常に期限に追われてプレッシャーを感じることになり、これが大きな問題となっている人は多いと思います。
プレッシャーに押しつぶされそうになった時には、時間軸を変えることが有効です。
「今抱えている問題は、1年後にも自分の中で問題となっているだろうか?」と考えてみてください。
恐らく、今の仕事の結果がどうなろうとも、1年後の自分に直接の影響は及ぼさないのではないでしょうか。
このように考えることで、眼前に迫った問題のプレッシャーが減り、対処しやすくなることもあるのです。
また、過去を振り返るのが有効な場面もあります。
今の仕事が達成できるか不安を感じているときには、「新入社員の頃の自分」「3年前の自分」「1年前の自分」というように、過去の自分がどのような仕事をしていたか思い出してみてください。
これにより、ゼロから段々とスキルアップし、以前よりもできるようになっている自分が見えてくれば、今直面している不安も和らいでいくはずです。
実験②:空間軸を変える
空間軸を変えるとは、”現在とは違う”場所に自分がいたらどうか、頭の中で想像してみるということです。
例を出してみましょう。
ある日、上司から「遅刻が多い」と叱られてしまったとします。
これに対して「少しくらいいいじゃないか。この会社は厳しすぎる」「自分には合わないからやめてしまおう」と思ったとしましょう。
それを行動に移す前に、ここで一度空間軸を変える思考実験をしてみましょう。
ここでは、サラリーマンとしてではなく、八百屋で自営業を営んでいる自分をイメージしてみます。
八百屋の店長であれば、口うるさい上司はいませんし、例え店を開けるのが遅れてしまってもとやかく言われることはないでしょう。
店が暇な時間帯には、今よりゆったりとした時間を過ごすこともできそうです。
しかし一方で、仕入れのためには朝早く市場に行く必要があるでしょうし、安定した収入を得るためにはしっかりとした休みを持てないかもしれません。
何かミスをしてしまったら、フォローしてくれる上司はいないので、自分の手で何とかしなければいけません。
このようにイメージしていくと、時間通りに生活するのは大変だが、それに見合うだけのメリットが今の生活にはある、と感じられるかもしれません。
反対に、もしも思考実験の中で今の生活よりも良さそうな生き方が見つかったのならば、それを目指してみるのも良いでしょう。
このように、今の自分と違う自分をイメージする思考実験により、現在の思い込みとは別の視点を得ることができるのです。