就活SST「主張は提案として伝える」
就活SST
現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。
今日は、就活SSTのプログラムを行いました。
前々回から、SSTでは人に誤解なく何かを伝えたい時の話し方について考えています。
前回のプログラムでは、「相手に合わせた例を挙げる」「具体的に伝える」「主観と事実を分ける」など、「人に伝える」ためのテクニックをいくつか紹介しました。
今回の「人に伝えるテクニック」は、「主張したいことがあるときの話し方」についてです。
主張は提案として伝える
人と自分で考え方や価値観が違うとき、自分の主張をしたくなるのは自然なことです。
しかし、だからといって自分の言いたいことだけを一方的に伝えようとすると、トラブルの原因となってしまいます。
意見が食い違い、自分の意見を主張したい時に重要なのは、”相手の話を最後まで聞いて”から、自分の意見を”提案する”ということです。
では、1つ例を出して考えてみましょう。
ある会社に勤めているAさんとBさんという2人の社員がいます。
Aさんは、ノー残業デーは残業をしないで全員が帰るようにしたいと考えています。
一方でBさんは、ノー残業デーであっても残って仕事をしたいと考えています。
ある日、そのことについて、BさんからAさんにこのような主張がありました。
Bさん「ノー残業デーであっても、私は早く帰ってもやることがないので、残って仕事がしたいんです!」
これを受けたAさんの回答として、以下の3パターンを比べてみてください。
①「普通はノー残業デーって言ったら全員帰るものだよね?どうしてそうしないの!?」
②「そうは言っても、ノー残業デーは全員帰らないといけないんだよ」
③「Bさんはノー残業デーでも仕事を頑張ろうと思ってくれているんだね。私は、ノー残業デーには全員が帰るようにしたいと思っているんだけど、どうかな?」
もしも自分がBさんの立場であったとしたら、どのパターンで言われるのが一番良いでしょうか。
①と②の回答は、Bさんの主張を受け入れず、Aさん側の意見を”主張”するものです。
このように返されてしまうと、「普通ってなんだよ」とイライラしてしまったり、「そうは言ってもって、こちらの話を聞いてくれる気はないんだな」とガッカリしてしまったりするのではないかと思います。
それに対して③は、Aさんの意見そのものは①、②の回答と変わらないものの、Bさんの意見のことも受け止めてくれています。
①、②の返事であれば感情的になり、口論に発展してしまうかもしれません。
しかし、③の返事であれば、こちらも相手の意見を受け止め、その上で考えることができるのではないかと思います。
一人一人が違う経験を持ち、そこから培ってきた考え方や価値観も当然みな違います。
そして、違う考えを持っている以上、そこで意見が食い違うというのも自然なことです。
ところが、人は基本的に自分の考えに疑問を持ちません。
違う意見とぶつかったとき、自分の考え方と違っていることで怒りの感情が浮かんだり、「自分の意見は正しく、相手の意見は間違っている」と考えて、相手の意見をやりこめようとしてしまうのです。
コミュニケーションの目的は、どちらが正しいのかを証明することではありません。
相手の話に耳を傾けることで自分とは違う相手の考えに触れ、それを否定するのではなく受け入れることが大切です。
相手が「なぜそう考えたのか」がわかれば、自分の意見と相手の意見を双方大事にする、新しい選択肢が見えてくるはずです。