就活SST「理由を説明する/怒りはリクエストにする」
就活SST
現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。
今日は、就活SSTのプログラムを行いました。
現在、”人に伝える”ことについてのプログラムを進めています。
前回のプログラムでは、「主張したいことがあるときの話し方」について考えました。
今回の「人に伝えるテクニック」は、「理由を説明する」ことと「怒りをリクエストにして伝える」ことについてです。
理由を説明する
相手を説得したいときや、行動を促したいといった場面があったとします。
そのようなとき、どんな伝え方をすれば相手に納得感を持って伝えることができるでしょうか。
以下は、「デスクの上に書類を置かずに帰宅するように」という注意です。
それぞれの言い方について、どのような印象を受けるでしょうか。
①「帰宅する時は、デスクの上に書類を置かず、引き出しにしまってください」
②「社会人として当たり前のことだから、帰宅する時は、デスクの上に書類を置かず、引き出しにしまってください」
③「帰宅する時は、デスクの上に書類を置かず、引き出しにしまってください。なぜかというと、帰宅後に清掃業者の人が作業をする時に、間違って捨てられてしまうこともあるからです。最悪、機密事項の紛失という事故に繋がって、組織の信頼を失うことになるかもしれません」
①は、理由を説明せず、やって欲しいことだけを伝えています。
特別嫌な気持ちにはならなそうですが、あまり重要性が伝わらず、忘れてしまって実践しない人も中に入るかもしれません。
②は、一見理由を説明しているようで、その実攻撃的な表現です。
“社会人として当たり前”であるというのは、この人がそう考えているというだけで、納得のいく説明にはなっていません。
むしろ、「それができていない今の自分たちは社会人失格だっていうのか」とカチンと来てしまう人もいるかもしれません。
③の言い方は、詳しくなぜ必要なのかという説明をしています。
少々長くなってしまっているので、印刷して張り出すなど文章で表現すると少しわかりづらい可能性もありますが、注意をされた側にも「自分にも関係がある」ということが伝わるため、①の伝え方をするよりも、意識して実践してくれやすくなるのではないかと思います。
「怒り」はリクエストにして伝える
「怒り」という感情は、自分の「こうして欲しい」「こうなるだろう」という思いが裏切られたと感じたときに浮かぶものです。
裏を返せば、怒りには必ず、裏に潜む”リクエスト”があるのです。
怒鳴りつけるなどして怒りを怒りのままぶつけると、相手側もイライラして口論になってしまうかもしれません。
例えその場でトラブルにはならなかったとしても、「そんなことを言ったって○○じゃないか」というように反論を浮かべてしまうので、リクエストは返って通りづらくなってしまうのです。
何が嫌だったのか、自分は相手に何を求めているのかを分析し、それをリクエストの形で伝えれば、相手も納得しやすくなり、怒りのままで伝えるよりもリクエストが通りやすくなるのです。
例として、周りに協力的でない人にイライラして、「どうして手伝わないの?」と言ってやりたくなったとしましょう。
こんなときは、「みんなで一緒に取り組んでいることについて、〇〇さんにも手伝ってもらえると助かるんだけど、どうかな?」なんてリクエストをしてみましょう。