強迫性障害ってどんな病気?-②

前回の「強迫性障害」の理解度チェックはこちら

手を何時間も洗い続ける、鍵を何回も確認するなどの行為を、自分でもばかばかしいと思っているのにやめられない。

「強迫性障害」はそんな病気です。

その症状はさまざまで、中には性格だと思われて見過ごされているうちに、悪化してしまうこともあります。

具体的な症状のタイプをみていきましょう。

強迫症状

自分でもばかばかしいと思うような考えが頭から離れず、突き動かされるように何度も同じことを繰り返す強迫症状。

やめたいと思ってもやめられない、苦しい状態です。

何度も繰り返して頭に浮かんでくる特定のイメージや衝動が強迫観念

不合理で不愉快なものであることが多く、「ばかばかしい」と思ってもなかなか頭からはなれません。

不安を打ち消そうとして、繰り返す行動が強迫行為

「ばかばかしい、やめたい」と思っても簡単にやめられず、繰り返してしまいます。

強迫観念強迫行為を生み、強迫行為によって、ますます不合理な考えへのこだわりが強くなっていくという悪循環を繰り返してしまいます。

タイプ① 不潔

どこもかしこもバイキンだらけ、自分の手や体にべったり汚れがついているという不潔に関する強迫観念は、長時間洗浄し続ける強迫行為につながります。

洗浄などに時間をとられ、やるべきことができなくなり、生活に大きな問題が生じてきます。

そのほかの例
  • トイレのあと、長時間、温水便座でお尻を洗い、トイレットペーパーで何十回もふく
  • スーパーで買ってきたものをいちいちふかないと気が済まない

タイプ② 確認

戸締りをして家を出たのに、「鍵がかかっていないのでは」という不安でいっぱいになり、何回も確認する……「強迫性障害」の典型的な現れ方のひとつです。

1回や数回の確認で気がすめば問題になりませんが、何回確認しても「大丈夫」という確信が得られないと、際限なく確認する強迫行為になってしまいます。

外出前に確認に追われ、とうとうでかけられなくなってしまうこともあります。

そのほかの例
  • 水道の蛇口や、コンロの火、明かりが消えているかを何度も確認する
  • ものを落とさなかったか、忘れ物がないか、何回も確認する

タイプ③ 加害

誰かを怪我させたのではないか、気づかないうちに何か悪いことをしてしまうのではないかという強い恐れを加害恐怖といいます。

実際には何も罪を犯していないのに、「自分が気づかなかっただけではないか」と、かえって不安が高まり、際限のない確認行為が始まってしまいます。

そのほかの例
  • 自動車を運転していて、何かをひいたのではないかと気になり、何回もバックミラーで確認したり、気になる現場に戻る
  • 陶器やガラス製品を扱っている売り場に行くと、品物を落としてしまいそうで怖いので、売り場に近づけない

タイプ④ 正確さ・対称性

ものごとの正確さや対称性にこだわる人はめずらしくありません。

しかし、「強迫性障害」の場合、こだわりが高じて強くとらわれてしまい、本来の目的が果たせなくなります。

本や教科書に書かれた言葉の意味や文の内容を、正確に理解できているかどうか気になり、読み進めるのに時間がかかりすぎて、仕事や学校生活に影響が出ます。

そのほかの例
  • 納得いくまで字を書きなおす
  • 本や文具など、物の置き方にこだわる

タイプ⑤ 身体・病気

自分の体調や病気は、だれでも気になるものですが、「強迫性障害」では、検査で何度「異常なし」と出ても不安でたまりません。

安心を求めて検査を繰り返してしまいます。

そのほかの例
  • 特定の病気(ガンやエイズなど)にかかっていることを心配して、繰り返し検査を受ける
  • 食べたものを吐くイメージが頻繁に浮かんで、食事が苦手になる

タイプ⑥ そのほか

「手を洗い続ける」「確認をし続ける」という典型的な症状のほかに、いろいろなタ<イプがあります。 「ただのクセ」ととらえていると、悪化していくおそれがあります。

  • 食事や服を着るときに、決まった手順ややり方にとらわれて、動作が遅くなる【強迫性緩慢】
  • 神を冒涜するようなことを考えたり行ったりして、罰を受けるのではないかと心配し続ける【宗教】
  • 縁起、迷信を過剰に気にして、生活に支障をきたす【縁起】
  • 不必要なものでも、いつか必要になるかもしれないと思うと心配でたまらず捨てられない【ため込み】
  • 小児性愛や倒錯した性行動など、自分にとって受け入れたがい性的なイメージが浮かんできて、とらわれてしまう【性】
  • なんでも徹底的に質問しなければ気が済まない【質問癖】

あまりにもこだわりが強く、日常生活に大きな問題が生じるようなると、本人も周囲も苦痛を受けるようになります。

それでも、病気だと気づかれないことも多いのが実情です。


次回は、「強迫性障害」の患者さんとその家族との関わり、関連する病気などについて詳しくみていきます。

 

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