土曜プログラム「怒りへの対処」

土曜プログラム

本日は、就労移行支援事業所 リスタートの土曜開所日です。

土曜開所プログラムとして、今回は、”怒り”の感情への対処法についての課題に挑戦してもらいました。

怒りを引き起こす「傷つけられた大事なもの」

怒りという感情は、冷静な判断力を失わせます。

怒りに身を任せてとった行動は、人間関係にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

この怒りという感情は、どういった時に浮かんでくる感情なのでしょうか?

それは、一行にまとめてしまえば、「自分の大事なものが傷つけられた」ときに、それを守るために浮かんでくる感情、ということができます。

はるか昔、我々の祖先は、自分や家族の命が危険にさらされたとき、怒りという感情をエネルギーにしてそれに反撃し、生き延びてきました。

そのメカニズムは今でも継承されているため、自分の守っている境界線を越えて自身のテリトリーが侵害されたと感じたとき、怒りという感情のエネルギーによって、身を守るために行動しようとするのです。

つまり、怒りを引き起こす原因となるのは、「傷つけられた大事なもの」である、と言えるでしょう。

この、「傷つけられた大事なもの」になり得るものとして、以下の例が挙げられます。

① 夢や理想
「こうすればもっと良くなるという考えがあるのに、それを無視した指示を出された」など

② 仕事
「大事にしている仕事をバカにされた」「一生懸命やった仕事を否定された」など

③ 周囲からの評価
「周りからダメ出しされた」「自分の評価が悪くなるようなことを言われた」など

④ 才能や能力
「自分の才能を発揮するチャンスを邪魔された」「能力を伸ばすチャンスを邪魔された」など

⑤ 時間
「相手が遅刻してきた」「時間をかけてやった仕事がムダになった」など

⑥ 関係
「誰かの不用意な言動で関係にヒビが入りそう」「大事な相手との関りを邪魔されそうになった」など

⑦ 健康
「不健康な行動を強要された」など

⑧ 価値観
「自分のポリシーを持ってやった仕事を否定された」「自分の大切な価値観をあり得ないと言われた」など

⑨ 結果や成果
「あと少しというところで誰かがミスをした」「邪魔が入って失敗に終わった」など

怒りを感じたときにやってはいけないこと

怒りの感情は、はるか昔、自らや家族を守るために使われていた時から今まで継承されているとお伝えしました。

しかし、社会というものが生まれ、その中で生きていく現代では、求められる怒りの表し方も変化しています。

この現代社会で、怒りを感じたときにやってはいけないのは、端的に言ってしまえば「攻撃すること」と「我慢すること」です。

①攻撃する
怒りを感じたとき、衝動的にやってしまいやすいのが、「攻撃的」な言動です。

しかし、これをしてしまったが最後、相手との関係にヒビが入るだけでなく、周囲の人からも「あんなことを言う人なんだ・・・」「こんなことをするなんて・・・」と思われてしまい、信頼を失ったり、評価を落としたりすることになってしまいます。

なお、「攻撃的な言動」とは、直接的な暴言などだけを指すわけではありません。

「嫌味を言う」「無視する」などの行為も含まれますし、「いつもはちゃんとやってくれてるのに、今日はどうしちゃったの?」といったように、一見親切に見せかけた攻撃の形もあります。

直接怒鳴ったり、手を出したりしていないからと正当化していると、知らず知らずのうちに周囲から悪く思われてしまっているかもしれません。

②我慢する
もう一つのやってはいけないこと、それは「我慢」することです。

腹が立っても、その場はぐっと我慢してしまえば関係は悪くならないし良いと思われるかもしれません。

しかし、怒りを抑え込んでしまうことは、精神的に悪影響があるのはもちろん、高血圧や冠状動脈疾患など、循環器系の疾患の危険因子になることもわかっています。

また、”我慢した”ということは相手には伝わりづらいので、「納得してくれたんだな」と思われてしまい、後々さらに厄介なことになってしまうこともあります。

怒りへの対処

相手を攻撃するのでも、ぐっと我慢するのでもなければどうすればいいのでしょうか。

重要なのは、「怒りを感じること」と「外に表現すること」を分けて考えることです。

「怒りに対処する」と見ると、「怒りを覚えてはいけないということか」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

怒りの感情は、大切なものを傷つけられたことを自分に示すものであり、それそのものが浮かべてはいけない悪いものというわけではありません。

相手に対して怒りを覚えること自体を防ぐことは、目的ではないのです。

意識したいのは、怒りの感情が湧いてきたとき、それをどう表現するかです。

衝動に身を任せて行動するのではなく、「大事なもの」を守るため、どのような行動が必要となるのかを冷静に判断するようにしましょう。

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