就活SST「選択理論の実践」
就活SST
前回は、これまでの選択理論の話を、10の原理として復習しました。
今回は、サンプルのシチュエーションを使って、選択理論を実践してみます。
選択理論の実践
以下の問題を解決するため、選択理論の考え方を使って起こす行動を考えてみましょう。
状況
Aさんは、入社2年目で営業企画部で働いています。
Aさんには、5年目の先輩であるSさんがいます。
最近Aさんは、少しやる気を失ってしまっています。
なぜなら、自分の考えた企画やアイデアを、Sさんが全部自分の発案のようにして上司に披露していると感じているからです。
つい最近も、「この前、Aと話していたら、面白いことを言うので、これはちゃんと形にしたらよくなると思って、考えてみたら、結構よい企画になったので見てもらえませんか」と、Sさんが上司に提案してしまいました。
それについてAさんが抗議したところ、Sさんは、「盗んだなんて人聞きの悪いことを言うなよ。参考にはしたけれど、君のアイデアのままじゃ形にならないんだ。なくなるはずのものが良い企画になって通ったんだから、むしろ感謝しろよ」という調子であり、上司も誰が発案したかというのはあまり気にしている様子ではありませんでした。
最近のAさんは、良くないと思いながらも、自分のアイデアを言わず、自分の中でため込むようになってしまっています。
選択理論で考える
ポイントは以下の3点です。
①:Aさんの満たされていない欲求を把握すること
②:欲求が満たされていない原因を考えること
③:「コントロールできること」「コントロールできないこと」を区分すること
①:Aさんの満たされていない欲求を把握すること
Aさんの満たされていない欲求は、5つの基本的欲求のうちのどれでしょうか。
今回の場合、「誰かに認められたい」「価値を生み出したい」といった、”力の欲求”が満たされない状態になってしまっていると考えるのが自然そうです。
②:欲求が満たされていない原因を考えること
それでは、欲求が満たされないのは何故でしょうか。
Sさんがアイデアを自分の発案にしてしまっているから・・・と考えるかもしれませんが、もしかしたら、少し違うかもしれません。
「先輩が自分の発案のようにしている」ということは、それによって「自分のアイデアが認められない」と感じてしまっているということであり、力の欲求が満たされない原因の根幹はここにあると考えることができます。
③:「コントロールできること」「コントロールできないこと」を区分すること
「コントロールできること」は、自分自身の思考と行為です。
一方、先輩や上司の考え方や行動は、「コントロールできないこと」です。
問題解決のための行動の例
自分にコントロールできることで、「自分のアイデアが認められない」状態から脱却する方法として、
「自分から上司に直接提案してみる」ことが挙げられます。
提案して受け入れてもらえるのであれば、Sさんにアイデアを奪われてしまうということはなくなります。
一方、もしそれで通らないのであれば、Sさんの言っていた、「そのままでは形にならない」というのも事実であったのかもしれません。
その場合であっても、最初からSさんに、「このようなアイデアがあるのだが、そのままではダメだと上司に言われたので、手直しを手伝ってほしい」と伝える、などといった、次の行動の選択肢が見えてくるはずです。