認知行動療法講座「5つのコラムの練習」

認知行動療法講座

前回は、第4のコラム「根拠」と第5のコラム「反証」についてご紹介しました。

今回は、それらのコラムを実際に作ってみる練習をしていきます。

5つのコラムの練習

状況
同僚と共に任されたプロジェクトにミスがあり、上司に指摘されてしまった。その翌日、同僚が飲みに誘われているのを見たが、自分は誘われていない。

気分
1)無力感 70%
2)自責感 70%
3)落ち込み 80%

自動思考
1)私はまたミスをしてしまった。どうして私は何をやってもだめなんだろう。
2)同僚は上司に飲みに誘われたのに自分は誘われていない。自分は上司に嫌われてしまったのだ。
3)同僚もミスをしていたが、大したものではなかった。しかし、自分は重大なミスを犯してしまった。自分は役に立たない人間なんだ。

第4のコラム:根拠

まず、1つ目の自動思考から考えてみましょう。

「以前にもミスをしたことがある」ことと、「上司からミスの指摘を受けた」ことは、実際に起きた事実なので、根拠に挙げられます。

一方で、「私は何をやってもだめ」と考えていることを裏付ける事実を見つけることはできなそうですね。

2つ目の自動思考に関しては、前半の「同僚は上司に飲みに誘われたのに自分は誘われていない」ということは事実でしょう。

しかし一方で、これが上司に嫌われたからだ、とすることを裏付けることはできず、想像の域を出ません。

3つ目の自動思考については、実はこの時、同僚とは同じ作業を協力してやっていたのであり、同僚のミスは大したものではなく、自分のミスは重大である、という考えを裏付けることはできませんでした。

また、自分が役に立たない人間である、というのも”自分がそう思っているだけ”であり、根拠を見つけることはできません。

第5のコラム:反証

1つ目の自動思考には、「極端な一般化」や「心のフィルター」が含まれています。

そこで、過去を振り返り、この思い込みと矛盾する事実を探してみましょう。

例えば、「このプロジェクトが始まる前の段階では問題なく仕事をこなしていたし、怒られるようなこともなかった」

とか、

「そもそも、何をやってもだめな人間なら、わざわざ新規プロジェクトに抜擢されない」

などが挙げられそうですね。

2つ目の自動思考には、相手の気持ちを勝手に推測する「結論の飛躍」が含まれています。

このような時は、自分の推測と別の可能性を考えて見るのが効果的です。

例えば、「社内の部活で繋がっている人だけでの飲み会が開かれることがあるので、今回もそれかもしれない」なんて可能性に行きあたるかもしれません。

3つ目の自動思考には、過大評価・過小評価やレッテル張りといった認知の歪みが含まれています。

ここは、点数化等によって、自分の思い込みに捉われる客観的な評価を行うのが有効そうです。

「注意は受けてしまったが、進行ペースに問題は出ていない。70点くらいの成果にはなっている」などといったように考えられれば、一気に楽になることでしょう。

 

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