就活SST「アサーションで苦情に対応する」
就活SST
前回は、対人関係を良好に保つのに有効な”気遣い”についてお話しました。
今回は、自分も相手も大切にするコミュニケーション技法「アサーション」についてのお話です。
苦情への対処
暮らしていく中で、自分の取った行動が相手を不快にしてしまい非難されてしまうことが、時にはあるかもしれません。
あるいは、完全に身に覚えの無い理不尽なことで叱られてしまった、なんて経験がある方も、少なくはないのではないでしょうか。
このような時、皆さんはどうしていますか?
人は、立場や相手の反応、環境からその時々で取れる対応を判断しています。
つい感情的になって不快な気持ちを直接伝えてしまうと、相手にショックを与えてしまったり、口論になってしまったりするかもしれません。
どんな場面の時、どんな対応が適切なのか、考えてみましょう。
アサーションで伝える
自己表現の方法は、3つのタイプに分類できます。
①『非主張型』:相手を大切にするあまり、自分の気持ちや意見を伝えられない
②『攻撃的』:自分の考えや意見ははっきり言うが、それを相手に押し付けてしまう
③『アサーティブ』:自分も相手も大切にするスタイル
この、アサーティブな方法を使ったコミュニケーションのことを”アサーション”と呼びます。
例を出しましょう。
Aさんは、友人のBさんを遊びに誘おうとしました。
しかし、Bさんは忙しそうにしていたので、Aさんは気を遣って声はかけず、他の人と遊びに行きました。
後日、それを知ったBさんから、「自分を誘ってくれないなんてひどい!」と言われてしまいました。
この場面を整理してみましょう。
Bさんの言い分は、「自分のことも誘って欲しかった」というもの。
これに対してAさんは、「気を遣って誘わなかったのに、こんな言い方をすることはないじゃないか」なんて感じるのではないでしょうか。
先ほどの自己表現の方法に適用してみると、以下のようになります。
非主張型「ご、ごめん・・・」
自分の言いたいことは飲み込み、相手の非難をそのまま受け止めています。
この場でのBさんの怒りは晴れるかもしれませんが、Aさんには自分の気持ちをわかってもらえていないモヤモヤが残ってしまいます。
攻撃的「そんな怒らなくてもいいじゃん!私としても気を遣ったんだよ!」
自分の言い分を一方的に伝えてしまっています。
Aさんはスッキリするかもしれませんが、Bさんの気持ちを蔑ろにしてしまっているため、口論に発展してしまうかもしれません。
アサーティブ「ごめんね、誘えばよかったね。帰る時に忙しそうにしていたから誘いづらかったんだ」
Bさんの、誘ってもらえず悲しいという気持ちを受け止めた上で、自分の側の事情を伝えています。
このような伝え方ができれば、お互いに納得し、仲直りするために話し合いを続けていくことができそうですね。
なお、「攻撃的」な自己表現は、必ずしも強い口調だけが該当するわけではありません。
例えば「誘おうと思ったんだけど、忙しそうだったから」という返しは、一見すると攻撃的な印象はないかもしれません。
しかし、相手の「誘ってもらえなかった」悲しさのことは受け入れず、自分の事情を一方的に伝えていることに変わりはないため、これも攻撃的な自己表現となってしまっているのです。