第五回メンタルヘルス講座 -トラウマからの回復① ~いじめ・ハラスメント編~-
今回からは、”トラウマ”をテーマにやっていきます。
過去の経験で、トラウマを持っている方は多くいます。
そんな方々の助けになるだけでなく、どのようなことがトラウマに繋がるのかを知ってもらい、
トラウマ被害を受ける方が少しでも減るようにお手伝いができればと思います。
目次
今回も多くの方に来ていただけました!
初めて参加の方も多くいらっしゃいましたが、いつものウォーミングアップの効果もあって、
みなさんすぐに打ち解けていかれました。
隣の人と呼吸合わせをしてリラックスしたら、いよいよ今回のテーマに入っていきます!
いじめ・ハラスメントかどうかは被害者が決めること
いじめやハラスメントの加害者は、
「冗談でやったこと」「イジっただけ」「(社員や生徒の)指導として行った」
などと言って、加害性を否定することが多いです。
しかし、被害者が傷つけられたと感じれば、それだけでいじめやハラスメントと考えられます。
いじめ・ハラスメント被害に遭ったら?
・まず、被害を受ける場から一番早く逃れられる方法をすぐに取ること!
・学校でいじめを受けたら、学校側がきちんと調査や対策を行うまで学校には行かない
・職場でセクハラ・パワハラなどを受けたら、すぐに仕事は休む。
そして、精神科・心療内科受診と法律相談をすぐに受ける。
ハラスメント被害で精神疾患になったという診断書を医師に貰い、
職場が加害の調査や問題が二度と起こらないよう対策をし、
加害者・責任者の特定と処罰、被害者への補てんが行われない限りは職場復帰はしない。
・いじめやハラスメント被害を受けた時に、不登校や欠勤をすることは恥ではありません!
自分の身を守る行為をすぐ取れた自分を誇るべきであって、我慢や忍耐は美徳ではありません。
被害者本人だけでなく、家族・周囲・援助者・社会全体も、正しい意識を持つことが大切です。
いじめやハラスメントの被害者は被害者である自身を恥ずかしいと考えがちで、
特に性被害は恥の感覚を伴いやすいです。
できるだけ問題を正しく理解し、被害者に共感してくれる人に被害を打ち明けるようにしましょう。
しかし、不適切な相談相手を選んでしまうと、二次被害を受けやすいので注意が必要です。
被害を受けた時の二次被害・セカンドレイプに注意!
いじめ・ハラスメント・性被害などを訴えた相手に不適切な対応をされると、
被害によって受けたこころの傷は、さらに深まってしまいます。
しばしば起きる二次被害の例
・「いじめられる側にも問題がある」「我慢しろ」などと言われる
・いじめ被害についての調査をきちんとしてもらえない
・調査結果や要求した情報開示が黒塗りだらけで、事実関係も責任の所在も不明のままにされる。
・無理に登校を促される
・被害の聞き取りの場に加害者を同席させる
(被害者はプレッシャーを感じて被害について話ができない)
思い出したくないトラウマになった事件やその時の恐怖を
再び思い出させられてしまい、心身の状態がさらに深刻になることもあります。
・公開の場で事情の聞き取りをされる
・性被害を受けた場合に、女性被害者に男性が聞き取りをする
被害者に対して「あなたにも隙があった」「服装の露出が大きかったから」などと言われる
・明らかに一方的に被害を受けているのに、喧嘩両成敗的な処分をされる
・ブラック企業、ブラックバイトなどで取り決め以上の時間や過労死ラインの労働を強制され、
改善を訴えた場合に「どこの会社でもやっていることだ」「一人前になるための修行だと思え」
「お前のためを思ってやっていることだ」「お前の仕事が遅いから残業しなければならないんだ」
などと言われる
・ハラスメント被害を訴えても「上司の命令には絶対服従」などと言われる
・ハラスメントが原因の精神疾患で病気休職したのに、そのまま退職に追い込まれる
・明らかにハラスメントが原因の不調を起こしていても、「ストレスに耐える力が足りない」
「ストレス・コーピングができていない」などと、自己責任ばかりが強調される
・職場復帰の際に、ハラスメント加害者、ハラスメントをしてきた上司がいる職場に、そのまま復帰させられる
・職場の宴会・飲み会などで起きたセクハラはじめハラスメント行為が、
「酒の席で起きたことだからしかたがない」「加害者も酔っていてよく覚えていないようだし」
などと、問題をあいまいにされる
※二次被害が起きる可能性が感じられる場合には、語日法的な措置を取らねばならなくなることも考えて、
ICレコーダーなどでやり取りの録音をしておくといいでしょう。
録音することを相手に告げるかどうかはケースバイケースですが、
レコーダーを隠しておいて録音したほうが良い場合が多いです。
いじめ・ハラスメント被害トラウマから回復するには
・今まで受けた以上の被害を受けないで済む安全な場所に身を映しておくことが大前提です!
・相談場所はインターネットなども活用し慎重に選ぶ
・被害者が恥の感情や罪悪感により自分から相談できないことが多いので、声掛けに気を付ける
・いじめや性被害にあっているのでは?といきなり質問しない
・食欲がない、眠れない、塞ぎこんでいるなどの様子の変化から聞いていく
・被害について話し始めたら、「良く勇気を出して打ち解けてくれたね」と対応する。責めない。
・自分が味方であるということを伝える
被害者の相談は、
①被害のトラウマから回復するための心理面のサポート
②被害を訴えてスムーズに休んだり、調査や補償などを求める法的なサポート
の2つに分かれます。
トラウマからの回復は
①ひとりではできない
②時間が経てばトラウマが自然に消えるわけではない
③気の持ちようを変えるぐらいでは回復しない
ということを知っていく必要があります。
なので、専門的にトラウマから回復できる方法を持っている治療相談機関や
自助グループに継続して通う必要があります。
・トラウマは基本的に薬物療法では回復しません
薬物療法中心ではなく、いじめやハラスメント被害を診ると
きちんと表示している精神科や心療内科にかかりましょう。
カウンセリングも、トラウマ治療を行っていることをきちんと出している所を使用しましょう。
同じような被害を受けた人の集まる自助グループへの参加も、トラウマからの回復には有効です。
・トラウマからの回復に取り組むのは、できるだけトラウマになるような出来事が
起きてから早い方が、トラウマ後遺症が深刻になりません。
・トラウマからの回復の基本は、自分のトラウマを他の人に共感を持って受け入れてもらうことです。
これまで使われてきたセラピーは、トラウマになった出来事の記憶を思い出して
語らなければいけませんでした。
しかし、現在は心理セラピー・FAP療法という治療法があり、
それであれば記憶が意識に残っていない小さい頃のトラウマや
本人がうまく思い出せないトラウマ、思い出したくないトラウマなども、
出来事自体を思い出すことなく身体反応を使って
速く的確に治療を行うことが可能になりました。
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次回のメンタルヘルス講座は、
11月27日です!
テーマは・・・
「トラウマからの回復②~親との関係編~」
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