昨年卒業された利用者さんの卒業論文をご紹介!

リスタートを卒業された利用者さんが、就職までの道のりを振り返っていただけました!

通所のきっかけになったこと、リスタートでの活動内容、印象に残ったことなどをご紹介。

ご本人様よりブログへの掲載許可をいただけましたので、こちらに掲載します。

就労移行支援事業所に通うことで何が変わるのか、困っていることに対してどのように対処していけばよいのかなど、非常に参考になるかと思います。

入所するまで 肩身が狭く窮屈

 会社に行かなくなり、元気もなく、何をするでもなく無気力に暮らしていました。
一人暮らしだったので誰かとコミュニケーションもなく、時間の流れから取り残されてしまったような気持ちになり、鬱々と過ごしていました。
何をやっても長続きせず、手ごたえのない毎日で、ぼんやりと「いつまでこの生活が続くんだろう」と思うと、かなり精神的に落ち込みました。

 仕事を辞めると曜日感覚がなくなるといいますが、これはかなり実感を感じました。
「平日」と「医者に行く日」と「休日」というような、曜日の境目がぼんやりとしてしまいメリハリとは程遠い生活でした。
時間だけはたっぷりありますが、体力も落ち、精神的にも経済的な余裕は無く、働いていないということを気にして肩身も狭く思うので、心の底から楽しくゆっくり遊べるようなこともありません。
そもそも「遊ぶの楽じゃない」という感覚にかなり戸惑いや焦りを感じました。

入所してから 「午後だけどこかへ通う」プレッシャー

 リスタートを見つけたのはネットだったと思います。
いくつか就労移行支援事業所を見学しましたが、一番ゆったりとした雰囲気を感じました。
ここならなにかを急かされることもないだろうと良い第一印象を受けたのを覚えています。

 最初のうちは午後だけ通所しました。
午後だけでも「毎日どこかへ通う」という行動にかなりプレッシャーを感じていましたが、すこしずつ慣れていきました。
慣れてくるごとに「取り残される感覚」もどんどん減っていった実感がありました。
なによりだれかと毎日コミュニケーションを取るれることがとても気持ちにプラスになったように思います。

プログラムの中で 少しずつ未来の自分を

 曜日感覚も曜日ごとのプログラムを受講することでかなり戻ってきました。
自由参加なので、無理に出る必要がないことも気持ちが楽になりました。
受講していくと内容に限らず、ぼーっと暮らしてきた頭が動いていくの感じることができるので、「少し頑張って受けてみようかな」という気持ちも芽生えてきました。

 印象に残っているのは、認知行動療法のプログラムでしょうか。
自分に向けられた言葉ではないのですが、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という趣旨の言葉は、いまでも思い出すことがあります。
確かに心の傷、トラウマを消すことはたやすいことではありませんが、未来の自分がどう変わっていくかを考え、過去は過去と自分の中で整理して考えるための大きな指針になったと思います。

気持ちの変化 「失敗してもいい」

 そうした通所生活の中で、自分自身に自信がつきました。
また「次は失敗しないようにしなくては」という考え方から、「何度だって失敗して良い。何度だってやり直す」という心の持ち方に変化が生まれたように思います。

 リスタートでは年の初めに色紙に筆ペンで「書初め」をするのですが、アントニオ猪木さんが引退の際に残した「迷わず行けよ 行けばわかるさ」という好きな言葉を引用して書き、この言葉に改めて感じるものがありました。
大学時代にあこがれていたけど、結局進まなかった出版の世界に進みたいと思う気持ちが強くなりました。

 障害手帳枠での就労も考えましたが、あまり多くなく、どうしようか考えていた時に、この「失敗しても良い」と「迷わず行けよ」が重なり、一般枠で就労を考えるようになりました。
失敗してもいいから、挑戦する道を行ってみよう。
そんな気持ちで就職したのがいまの編集プロダクションでした。

振り返って 「再出発」

 リスタートでの生活は、その名前の通り自分の生活、ひいては人生の「再出発」を後押ししてくれたと思います。
それもゆっくりと一歩一歩、自分の考えに寄り添った形で自分の背中を押してくれました。
視野も考え方も広がり、仕事でもプライベートでも、日々の暮らしに彩りを感じます。

 現在流行り病による、閉塞感が漂う重苦しい世の中のムードではありますが、焦ることなく歩みを進め、みんなが晴れやかになる日を心待ちにして暮らしています。
前に進むのを止めなければ、きっと良いこともあるはず。
そうした考えが持てるようになったのも、リスタートのおかげだと確信を持って言えます。