土曜プログラム「ストレスの原因となる“役割期待のズレ”」
土曜プログラム
本日は、就労移行支援事業所 リスタートの土曜開所日です。
土曜開所プログラムとして、今回は対人関係におけるストレスの原因となる、「役割期待」についてご紹介します。
ストレスの原因となる“役割期待のズレ”
人はいつでも、他者に対して何らかの”役割”を期待しています。
例えば、誰かに悩みを相談したときに、「そんなの気にしすぎじゃないの?」と言われたら、「こっちは苦しんでいるのに!」「もうこんな人に相談なんてしない!」などと腹立たしい気持ちになることでしょう。
これは、相手に「相談に乗ってくれる人」という役割を期待していたのが要因と考えることができます。
親しい相手だけではなく、まったく知らない相手であったとしても、我々は役割を期待します。
例えば、駅ですれ違った人から急に馴れ馴れしい態度を取られたとしたら、不愉快な気持ちになることでしょう。
これは、その相手に、「無関係な人」としての役割を期待していたからだと言えます。
役割を期待するのは悪いことではないのですが、相手に期待している役割がズレてしまうと、ストレスを感じたり、関係性を壊したりしてしまうことに繋がるかもしれません。
このズレを防ぎ、あるいは修正していくためには、コミュニケーションを取ることが重要です。
以下の言動パターンは、役割期待のズレを広げてしまうので注意が必要です。
1.あいまいな言葉
あいまいな言葉は、気遣いのつもりで使われていることも少なくありません。
例えば、「できるだけ早くしてください」という指示があったとします。
この指示を受けた側が「早くと言われたのだし急がなくては」と最優先で無理して進めたところ、指示を出した側は「1週間後までなので急がずやってくれれば良い」と考えていた、などというのは、わかりやすいズレのパターンです。
また、「言いたいことがあったが直接は指摘し辛かったので回りくどい言い方をしてしまった」といった場面も、伝えたかったことが伝わらず、違った意味合いで受け取られるなど、ズレを生む可能性が高いでしょう。
2.言葉を使わないコミュニケーション
言葉を使わない、表情や態度によるコミュニケーションもズレを生む要因です。
例えば、“舌打ちする” “「あーあ」と言う” “溜息をつく” などの行為。
これらを行っている側は、相手は自分の気持ちを察してくれるだろうと期待しているのですが、実際には伝わることはほとんどありません。
「機嫌が悪いのだな」ということは伝わっても、何を望んでいるのかまではわからないので、事態が解消することもなく、ただお互いに不愉快な気持ちになってしまうのです。
3.沈黙
沈黙してしまうことは、もっとも役割期待のズレを生む危険な行為です。
まだ、「ため息をつかれる」のであれば、最低限機嫌が悪いことは伝わりますが、黙っていては何も伝わりません。
「この人には言っても無駄だ」なんて気持ちになることもあるでしょうが、黙ってしまえば、本当に何も伝わらなくなってしまいます。
言葉によってズレを解消する
例えば、共働きの妻が特に疲れてしまった日。本当は夫に食器を洗って欲しいが、夫はテレビで野球の試合を見ている・・・なんて場面。
妻は、ため息をついたり、肩を回したり。あるいは、ガチャガチャと音を立てて食器を洗ったりするとしましょう。
これらはすべて、「私はこんなに疲れているのにどうして手伝おうとしてくれないの」といった気持ちの表明ですが、夫は気づかないかもしれないし、「更年期かな?」なんて思っているかもしれません。
あるいは、「男性って気楽でいいわよね」と嫌味を言ってみたものの、夫はまさか自分のこととは思わず「会社で嫌なことでもあったかな」と思ったり、はたまた「なんでこんな嫌味な女と結婚してしまったのだ」なんて思っていたり。
「相手はわかってくれるはず」「伝わっているはず」と思い込んでしまうことが、大きなズレを生むことになります。
ズレを解消するためには、言葉を使うしかありません。
「私は今日仕事でとても疲れているから、皿洗いを変わってくれると嬉しいの。お願いできない?」等と言葉にするだけでも、状況は大きく変わってくるはずです。