第六回メンタルヘルス講座 -トラウマからの回復② ~親との関係編~

就労移行支援事業所リスタートの過去のメンタルヘルス講座はこちら!

前回に引き続き、”トラウマ”がテーマの講座となっています。

過去の経験で、トラウマを持っている方は多くいます。

そんな方々の助けになるだけでなく、どのようなことがトラウマに繋がるのかを知ってもらい、

トラウマ被害を受ける方が少しでも減るようにお手伝いができればと思います。

 

まずはウォーミングアップです!

今回、初めて参加された方もいらっしゃいましたが、

みなさん打ち解けるためにも、まずはウォーミングアップです!

姿勢と呼吸を整えリラックスし、隣の人との呼吸合わせが終わったら、前田さんのお話が始まります。

 

 

家族内トラウマ≒虐待トラウマとは?

トラウマについてはこちらも参考にしてください

児童虐待には次の4つの種類があります。

・身体的虐待
・精神的虐待
・ネグレクト
・性的虐待

 

①身体的虐待

家族内に限った話ではありませんが、「指導」や「しつけ」と称する体罰も含まれます。

 

②精神的虐待

罵声、親の願望の無理強い、家族仲が良くない環境、DVの目撃、いじめや暴力を受けても助けてもらえない、など

過保護、過干渉、過度の世話焼きなども「優しい虐待」と呼ばれ、ここに含まれます

 

③ネグレクト

育児放棄、食事を与えない、監禁、放置、学校に通わせない、子どもの年齢に応じたスキルを覚えさせない、など

 

④性的虐待

最も表面化しにくく、被害者であるはずの子どもの方が罪悪感を抱きやすい虐待です。

性的虐待をなかったことにしようと、加害者や他の家族から「誰にも言ってはいけない」と口止めされることも多くあります。

また、あまりにショックが大きいために、事実関係の記憶が思い出せなくなってしまうこと(解離)も良く起こります。

 

親や他の家族にアルコールやギャンブルの依存症問題があると、虐待環境になりやすいと言われています。

 

虐待、または疑わしい状況を目撃・発見したら

児童相談所や児童虐待防止センターにすぐに連絡するようにしてください!

明らかな暴行や性的虐待の現場を目撃した際には、110番、119番通報を!

 

自分が過去に虐待を受けた、またはその疑いがあるときには

虐待によって受けた心の傷(トラウマ)は、できる限り被害を受けてすぐに専門家などのケアを受けることが望ましいです。

早くケアを受ければ、トラウマによって引き起こされるその後の症状などにも悩まされづらくなります。

しかし、多くの虐待被害者は適切なケアを受けずに大人になってしまうため、回復を図っていく必要があります。

 

回復を図るために、以下のことが重要です

・安全な場に身を置いて再被害やフラッシュバックを避ける

・経済的に家族と離れるのが難しい場合は生活保護なども利用する

・親にもいい面があった、優しい時もあった、などと考えてしまうと回復が妨げられる

トラウマの回復は一人でできることではなく、薬物治療や時間による治癒も望めない

 

トラウマ被害が起こす症状や問題

・PTSD
・自殺企図、自傷行為
・うつ状態
・アルコール、薬物、ギャンブルなどへの依存症
・不眠、睡眠障害
・食欲不振、過食
・不登校、ひきこもり、就労困難
・退陣緊張、対人恐怖、日常の中での不安、緊張
・感覚麻痺、感情鈍麻
・下痢と便秘を繰り返すなどの過敏性腸症候群
・慢性疲労、疲れやすい
・頑張りすぎ、仕事依存、バーンアウト
・身体治療ではよくならないさまざまな身体症状
・生きづらさを抱える、楽しいことを心から楽しめない
・トラウマの再演(アルコール依存の親がいたのにアルコール依存の相手と結婚する、自分の子どもに虐待行為をするなど)
・性的問題(恋愛やセックスへの依存、逆にそれらに興味を持てない、自分の性別や性嗜好の混乱など)
・非行、問題行動、犯罪行為
・自己肯定感の低下、自己と他者の優劣比較
・解離性自己同一性障害

「自分を無意識に危険に晒してしまう」「危機回避ができなくなっている」などの共通点があります

 

アダルトチルドレン

自分の生きづらさの原因が、過去からの自分と親の関係にあると感じる人をアダルト・チルドレンといいます。

アダルトチルドレンについてはこちらの記事を参考にしてください

 

虐待・家族内トラウマから回復するには

繰り返しになりますが、まずは安全な場所に身を置くことが重要です。

また、トラウマからの回復は一人ではできず、薬物や時間での治癒も望めません。

そのため、薬物療法が中心の精神科や心療内科ではトラウマからの改善は期待できません。

※ただし、トラウマによる不眠やうつ症状などへの対処として薬を使う場合はあります。

 

医師との一対一の診察だけでは時間もできることも不足するため、デイケアやグループ療法、カウンセリングなどを行っている医療機関を選び、利用することが大事です。

カウンセリングを利用する際にも、トラウマ治療を行っているときちんと明言している場所を選ぶ必要があります。

同じような被害を受けた人の集まる自助グループへの参加も有効です。

☆トラウマからの回復の基本は、自分のトラウマを他の人に共感を持って受け入れてもらうことです

 

トラウマ・セラピーは数々開発されてきましたが、基本的にはどのセラピーも、トラウマになった出来事を思い出して語る必要がありました。

しかし、トラウマ体験を思い出そうとすると、今まで封印してきた恐怖感やショックが蘇ってくるためにそれに圧倒されてしまうことがあります。

受けたトラウマの恐怖がイメージ化されてしまい、実際に起きていなかったことまで語られてしまうこともあります。

また、トラウマを受けたのが3、4歳以下の場合などには、思い出すこと自体が難しい場合もあります。

 

そのような事態を避けるために有効なのが、FAP療法と呼ばれるセラピーです。

FAP療法では、トラウマに関するキーワードを考え、その際の体の反応に注目することで治療が可能なため、

トラウマを思い出すことなく治療が可能です。

また、思い出したくないトラウマを感じている人や言葉で何かを語るのが難しい子供のトラウマ治療には、アートセラピーと呼ばれる方法も有効です。

 

 

次回のメンタルヘルス講座は、

12月18日です!

テーマは・・・

「トラウマからの回復③~DV編~」

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