第七回メンタルヘルス講座 トラウマからの回復③~DV編~

前回、前々回に引き続き、今回は最後のトラウマからの回復③~DV編~です。

トラウマからの回復①~いじめ・ハラスメント編~

トラウマからの回復②~親との関係編~

 

就労移行支援事業所リスタートの過去のメンタルヘルス講座はこちら!

DVとは?

配偶者間暴力。結婚している夫婦だけでなく、内縁関係や同棲関係の中で起きる暴力もDVです。

同居はしていなくても恋人間で起きる暴力も「デートDV」と言います。

ほとんどの場合、男性が加害者、女性が被害者です。同性カップル間でのDVももちろん起きています。

DV相談利用者の98%は女性ですが、7年前の横浜市の調査によると、

配偶者から暴力をうけたことがあるという率は男女ほぼ同率。

男性は配偶者からの暴力を相談することへの恥の感覚が強いことや、

そもそも他人に悩みを相談することに抵抗感が強いこと、

男性の相談窓口が非常に少ないことが男性のDV被害を見えにくくさせています。

DVの5分類

①身体的DV

直接殴る蹴るといった暴力的行為だけでなく、壁などを殴る、

被害者に当たらなくても物を投げつけるなど、

次は直接ひどい身体的暴力をうけるかもしれないという恐怖を与えられたら

それも身体的DVと考えられる。(精神的DVと考えてもよい)

 

②精神的DV

罵倒する。恥をかかせる。無視する。脅す。

身体的暴力など他のDVをされるかもしれないと感じさせ、コントロールする。

 

③社会的DV

行動の監視、電話やメールなどの通信履歴チェック、外出の制限、

実家や友人との交流、社会活動の制限など。

④経済的DV

生活費を十分に渡さない。就労させない。加害者の浪費や借金。

 

⑤性的DV

被害者が望まない性行為の強要。避妊に協力しない。

DV被害を受けたら・・・

少なくとも一時的に、可能であれば永久に、DV被害者から離れた安全な環境にまずは逃れること!

DV被害を受けていると感じたら、まずは自分や子どもの安全確保が第一です。

とりあえず安全に逃れられる場所(実家、友人宅、親類宅、ホテルなど)に逃げましょう。

もちろん、加害者に告げる必要はありません。

安全な場所=加害者に追ってこられない所のことです。

 

ストーカー行為や加害者による子どもの連れ去り・待ち伏せなどが考えられる場合には、

専門機関と相談の上、接近禁止命令を裁判所に出してもらったり、

一時的な休職、子どもの転校などを行わねばならないこともあります。

 

落ち着いてきたら、

・トラウマ治療

・子どものトラウマケア

・新たな仕事を探すなどの生活再建

・離婚などの法定手続き

など、無理のないペースで着手していきましょう。

DVトラウマから回復するには・・・

トラウマからの回復は、

①ひとりではできない

②時間が経てばトラウマが自然に消えるわけではない

③気の持ちようを変えるぐらいのことでは回復しない

 

専門的にトラウマから回復できる方法を持っている治療相談機関や

自助グループに継続して通う必要があります。

 

トラウマは基本的に薬物療法では回復しないため、

精神科・心療内科に行っても改善は期待できません。

そのため、トラウマ治療を行なうとか、DV被害を診るなどと、

HPなどにきちんと表示してある精神科・心療内科にかからなければなりません。

カウンセリングもトラウマ治療を行っているところを利用しましょう。

トラウマからの回復に取り組むには、できるだけトラウマになるような出来事が起きてから

すぐのほうがトラウマ後遺症が深刻になりません。

DVがある家庭で生まれ育った子どものトラウマ

DVや両親の不仲がある家庭で育った子どもは、直接虐待被害を受けていなくても

虐待児と同じく深刻なトラウマ被害を受けてしまいます。

特にDV場面を目撃した場合には大きなトラウマが残ります。

直接DV場面を見てはいなくてもDVが起きている家庭内は強い緊張感に支配されていて、

子どもにとっては適切な教養環境とは程遠いものとなります。

 

また、DVが起きている家庭で育てられた子どもは成人してから

DVで非常に嫌な思いをしてきたにもかかわらず、

パートナーにDV加害者を選んでしまうことがよくあります。

(フロイトが反復強迫と呼んだ現象。不快への依存症。)

 

DV加害者は自分を偽ることがたいへん巧みなので、

結婚や同居をするまで加害性に気付けない場合も多いですが、

DV家庭で育った人が恋人との同居や結婚前にDVを受けたり、恋人に支配的な兆候を感じたりしたら、

少なくとも、一度立ち止まって考え直すことはしてみましょう。

 

DV加害者の回復はあるの?

基本的にDV被害者は、自分と子どもの身の安全の確保と

自分たちのトラウマからの回復だけを考えましょう。

加害者の回復更生プログラムに参加することを条件に

加害者が同居の再開などを求めてくる場合もあります。

しかし、更生プログラムに参加したからといって全員が回復し、

二度と暴力を振るわなくなるわけではありません。

また、回復には時間がかかるため、同居再開など早急には行わないほうがいいでしょう。

子どもとの面会も心理や法律、DV支援の専門家などとよく相談してから許可を出しましょう。

加害者は、離婚や父親の不在が子どもに及ぼす悪影響を理由に、

同居再開や子どもとの面会を求めてくることも多くありますが、

せっかく逃れられたDV加害者とまた一緒にいることになる悪影響のほうが大きいと思われます。

子どもの連れ去りに発展することもあるので、

弁護士やDV被害者支援の専門家などが同席の場所限定で面会をさせるなど、

厳しい条件をつけたほうがいいでしょう。

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