GW特別講座⑤ 自分にとってマイナスの思い込みを探す ~不適応的スキーマ尺度~
GW特別講座
リスタートでは、今週1週間をGW期間とし、「GW特別講座」を開催しています。
第5回目となる今日は、自分にとってマイナスとなる思い込みである”不適応的スキーマ”についてのお話です。
不適応的スキーマとは
不適応的スキーマとは、自分の価値観の一部として含まれ、ネガティブな気分を作ったり、対人関係がうまくいかない原因を作ったりする考えや思い込みのことです。
例えば、「価値ある人間であるためには、成功しなければならない」という思い込みは、ベストを尽くして懸命に働くことで成功に近づくことができるといったメリットを持ちます。
しかし、常に成功し続けられるのであれば良いのですが、現実問題、どんなに努力していていたとしても、ミスなく成功し続けるのは現実的ではありません。
その結果、失敗してしまったときには大きく落ち込む原因となりますし、自分よりも成功していると感じる人間に対する劣等感を作り出す原因となってしまうのです。
まずは、このような”不適応的スキーマ”を自分が持っていないか、チェックしてみましょう。
不適応的スキーマ尺度
以下の各質問に対して、
0: 全くそう思わない
1: ほとんどそう思わない
2: どちらでもない
3: ややそう思う
4: 強くそう思う
のうち、いずれかの点数をつけていってください。
これらはいくつかのグループに分かれており、自分の持つ不適応的スキーマが、自分自身に対してどのように影響を及ぼしているのかを知るために役に立ちます。
1.批判されると、強く動揺してしまう |
2.人から認めてもらわないと、自分はあまり価値のない人間と感じる |
3.自分が幸せで価値のある人間と感じるためには、人から認めてもらうことが必要だ |
4.批判されると、自己防衛が過剰になってしまうことがある |
5.私の自尊感情は、他人が自分をどう思うかに大きくかかっている |
6.誰かに愛されていないと、幸せや満足を感じることができない |
7.愛されていなければ、私は不幸せになってしまう |
8.誰かに拒絶されるようなことがあれば、私は自分にどこか悪いところがある、と思ってしまうだろう |
9.自分が幸せで価値ある人間と感じるためには、愛されることが必要だ |
10.ひとりぼっちで、愛されていないときっと不幸せになる |
11 .ときどき自分はあまり成功していないと考え、落ち込んだりイライラしたりする |
12 .優れたキャリア、社会的身分、富、名声などの持ち主は、取り立てて成功していない人に比べて幸せになる |
13 .大きな業績をあげた人は、そうでない人よりも価値がある人間だ |
14 .自分よりも知的で成功した人に対して劣等感を持つことがある |
15 .私の自尊感情は、自分がどれだけ生産的で成功したかに大きく左右される |
16 .ミスを犯せば、人々は私をつまらない人間と考えると思う |
17 .失敗したときは、自分が価値の低い人間であると感じる |
18 .今までに犯した失敗を知ったら、みんなは私を軽蔑するだろう |
19 .ミスを犯すと、激しく動揺してしまう |
20 .いつも完璧を目指して努力するべきだ |
21 .他人が自分の期待にこたえないと落ち込んだり、イライラしたりしてしまうことがある |
22 .私は他人からもっとよい待遇を受けて当然と感じることが多い |
23 .人間関係上の問題は、大抵私ではなく他人に責任があると感じる |
24 .よく他人に欲求不満や怒りを感じる |
25 .自分は他の人からもっと良い待遇を受けるに値すると感じている |
26 .他人が怒っているのを見ると、自分のせいだと感じることが多い |
27 .友人や家族とうまくいかないと、非常に自己批判的になる |
28 .人間関係に問題があるとき、多くの場合自分に責任があると感じる |
29 .誰かが怒っているときは、基本的に自分に責任があるように感じる |
30 .誰かを喜ばせることができないと、自己批判的になる |
31 .ものごとの未来を予測するとき、大抵悪い結果を思い浮かべる |
32 .人生で起こる問題の解決は、非常に困難、あるいは不可能である |
33 .いやな気分になる理由は、自分の手でコントロールできない要因にあると思う |
34 .自分が本当に幸せで価値のある存在であると感じられることはないと思う |
35 .自分の問題を解決する上で、他人が助けになることはほぼない |
点数をつけ終わったら、以下の評価表に合わせて集計してみましょう。
1.承認依存度 | 1 – 5 |
2.愛情依存度 | 6 – 10 |
3.業績依存度 | 11 – 15 |
4.完璧主義度 | 16 – 20 |
5.全能感 | 21 – 25 |
6.自己非難度 | 26 – 30 |
7.絶望感 | 31 – 35 |
点数は、低ければ低いほど良いと言えます。
0 ~ 10 点の領域は、心理的に強く、あまり問題につながらない部分であると言えます。
一方で、
11 ~ 20 点の領域は、不適応的スキーマを多く含んでおり、自分を生きづらくしている原因かもしれません。
スキーマ尺度の解説
1.承認依存度
他者からの承認にどれだけ依存しているかの傾向です。
この領域の点数が高い場合、他の人からの評価に強く依存してしまうために、承認がもらえないと自分に自信を持つことができず、また批判を受けると大きく落ち込んでしまいます。
2.愛情依存度
他者の愛情にどれだけ依存しているかの傾向です。
この領域の点数が高い場合、他の人から愛され、受け入れてもらうことに依存してしまい、他者に嫌われたり、拒絶され たりす ることを過剰に恐れ、自尊心を持つことができなくなります。
3.業績依存度
社会的な成功など、業績にどれだけ依存しているかの傾向です。
この領域の点数が高い場合、自分よりも成績の良い人に対する劣等感に悩まされたり、業績が上がらないことに強い不安や焦燥感を覚えたりすることになってしまいます。
4.完璧主義度
完璧主義の考え方をどれくらい強く持っているかの傾向です。
この領域の点数が高い場合、100の成功以外で自己肯定感を持つことができなくなり、失敗することを過剰に恐れることや、必要以上の落ち込みに繋がってしまいます。
5.全能感
「自分は何でもできる」「他者よりも優れている」といった錯覚の傾向です。
この領域の点数が高い場合、自分の感覚と現実のギャップに苦しみ、落ち込みやイライラを感じやすくなってしまいます。
6.自己非難度
「自分が悪い」「自分のせいだ」といった自分を非難する考えの 傾向です。
この領域の点数が高い場合、自分が背負う必要のない問題まで自分の責任と感じてしまうために、気分が落ち込みやすくなったり、自分に対してイライラを覚えてしまったりします。
7.絶望感
未来や他者のことを、悲観的に捉えている傾向です。
この領域の点数が高い場合、物事の結果を悪く予測してしまうため、ネガティブな感情から抜け出せません。