パニック障害とは?⑥~心得ておくべき10のこと~
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第82回 教えてリス太くん
本人、家族はどんなことに
気を付けておくべきなんだろう?
患者・家族が心得ておくべき10のこと
1 パニック障害は、患者当人には死を決意するほどのつらい病気であるが、
決して死を招くような病気ではないことを確認する。
2 パニック障害は気持ちの持ち方が悪いから起こる病ではない。
ましてや、都合が悪いのでわざと起こしている病気でもないことを確認する。
3 パニック発作が起こってもあわてふためかない。
かえって不安が増強するので、静かに慎重に対処することが大切。
4 パニック障害の治療の根本は、まず発作を完全に消失させること。
5 発作が起きてから薬を飲んでも効果発現時には発作は終わっているので意味がない。
発作を起こさないようにきちんと服薬することが肝要。
6 広場恐怖に対しては、どんどん薬を使い、どんどん行動する。
7 「併発うつ病」は早期発見、早期治療。
8 パニック障害は完全にコントロ-ル出来る病気であることを確認する。
9 パニック障害は頑固な病であるので、勝手な断薬は禁物。
10 「パニック障害」という診断名を使う専門医に治療を受けること【病気を理解する】
周囲の人も病気について理解してあげることが必要です。
まず、身体に異常がなくとも激しい症状が起きる病気があるということを認識しましょう。
また仮病や気の持ちようで治るものではなく、治るまで時間がかかることもあることを理解しましょう。
【発作が起きてもあわてず騒がず】
周囲が騒ぐと本人の不安が増します。
楽な体勢にさせてやさしく声をかけたり身体を摩ったりして落ち着かせ、
「すぐに治まる」と安心させます。
【外出や通院の同行や食生活のサポート】
広場恐怖があると一人で電車に乗ったり街中を歩くことが困難な場合があります。
通院や暴露療法などの治療で必要な際には同行してあげましょう。
また、正しい食生活など日常的なサポートも。
次にあげる症状が4つ以上がかなり持続的に認められれば「うつ病」が強く疑われます。
ほとんど1日中気分が落ち込んでいる
何に対しても興味も喜びも持てない
食欲がない
3日以上続く不眠
頭の回転が鈍い
理由もなくいらいらする
疲れ易く活力が出ない
やる気が起こらない
些細なことに申し訳ないと悩む
自分は価値のない劣等な人間と思う
根気がない
簡単なことが決断できない
特に朝方に憂うつ
いつもより2時間早く目覚める
生きていても仕方がないと思う
うつ病の併発
パニック障害と併発しやすい病気に「うつ病」があります。
パニック障害の発症前からのものや、パニック障害が治まった後のものも含めれば、
パニック障害患者の半数以上がうつ病を発症しているといいます。
これはパニック障害の患者さんが心身の不調を気に病んで落ち込み、
うつ状態になりやすいというだけではなく、
うつ病もパニック障害と同じように、脳内セロトニンの働きの低下が関係しているからです。
うつ病では、「食欲がない」「眠れない」「楽しくない」「自分には価値がない」「憂うつで気分が沈む」などの症状があらわれます。
パニック障害などの不安障害に見られるうつ病を「不安うつ病」といい、
特にパニック障害に見られるものを「パニック性不安うつ病」として、普通のうつ病(定型うつ病)と区別されることもあります。
うつ病の治療
「意気消沈うつ病」の治療はまず発作を完全に消失させ予期不安をなくすことです。
そして、患者の興味をそそるような刺激を与えることです。
薬物としては、マプロチリンのような副作用の比較的軽い抗うつ薬を服用することにより多くは速やかに消失します。
本格的な「うつ病」の治療にまず必要なのは休養です。
休養は身体を休めることではなく心を休めることです。すなわち、気を使わないことです。
そして、イミプラミンやクロミプラミンといった三環系抗うつ薬で本格的に腰を据えて治療することです。
多くのうつ病は3ヶ月以内に軽快に向かいます。
アルコール依存症になりやすい
パニック障害になる前からアルコール依存症があったり、
またパニック障害に伴う不安や恐怖をアルコールの力で紛らわしているうちにアルコール依存症になるケースもあります。