パーソナリティ障害⑧~治療法Part2~

前回までの記事はコチラ↓

パーソナリティ障害①~パーソナリティ障害の基礎知識~

パーソナリティ障害②~パーソナリティ障害の分類と特徴~

パーソナリティ障害③~パーソナリティ障害の分類と特徴B~

パーソナリティ障害④~パーソナリティ障害の分類と特徴B Part2~

パーソナリティ障害⑤~パーソナリティ障害の分類と特徴C~

パーソナリティ障害⑥~治療法~

パーソナリティ障害⑦~対処のメカニズム~

第75回 教えてリス太くん

 

今回はパーソナリティ障害の治療法part2だよ!

治療

不安、抑うつ、そしてその他の苦痛を伴う症状があれば、その軽減が最初の目標となります。

薬物療法が有益です。選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)などの薬剤は、

抑うつと衝動性の双方に有用です。

抗けいれん薬は、衝動的な怒りの爆発を抑えるのに効果が

みられます。

リスペリドンなどの他の薬剤は、抑うつ、

境界性パーソナリティ障害の人にみられる

自分自身から離れていく感覚(離人症)の治療に効果を

あげています。

環境的ストレスの低減によっても、症状を速やかに

緩和できます。

しかしながら、一般に薬物療法が人格特性そのものに作用することはありません。

人格特性が形成されるまでには長い年月がかかるため、適応の妨げとなる特性の治療にも

かなりの歳月が必要となります。

パーソナリティ障害を短期間で治す治療法はありませんが、比較的早く現れる変化もあります。

行動の変化は1年以内に生じ得ますが、対人関係の変化には時間がかかります。

たとえば、依存性パーソナリティ障害の人にとっては、「決められない」という言葉を

口にしなくなることが行動の変化で、同僚や家族とかかわるようになり、

意思決定の責任を買って出たり、少なくともある程度受け入れたりすることが、

対人関係の変化になります。

 

治療法はパーソナリティ障害のタイプにより異なりますが、

すべての治療に共通する原則がいくつかあります。

普通、パーソナリティ障害の人は自分の行動に問題があると思っていないため、

本人は、不適応的な思考や行動が引き起こす有害な結果に直面する必要があります。

したがって、精神療法家は、本人の思考や行動パターンから生じる望ましくない

結果を繰り返し指摘する必要があります。

ときには、行動に制限を加えることも必要となります。

(たとえば、怒って声を張り上げるのを禁じる)。

家族の行動は、本人の問題行動や思考を強めるにもなくすにも影響するため、

家族の関与は治療に役立ち多くの場合不可欠でもあります。

グループ療法や家族療法、居住施設での共同生活、治療を兼ねた社交サークルや自助グループなどが、

社会的に望ましくない行動を変えていく上で役立ちます。

 

パーソナリティ障害は治療が特に困難なため、

経験豊富で熱意に富み、患者の心の繊細な領域や通常の対処方法を

理解している精神療法家を選ぶことが重要となります。

思いやりと指導のみではパーソナリティ障害を変えることはできません。

大半の治療の基本となるのは心理療法で、不適応行動や対人関係のパターンに変化がみられるまで、

通常1年以上続けることが必要となります。

医師と患者の間に親密で協力的な信頼関係ができると、患者は自分の悩みの根源を理解し、

不適応行動を認識できるようになっていきます。

精神療法は、依存、不信、傲慢、人につけこむといった

対人問題の原因となる態度や行動を、本人がよりはっきりと認識するのに役立ちます。

無謀、社会的孤立、主張の欠如、かんしゃくの爆発などの不適応行動については、

ときとしてデイホスピタルや居住施設内で行われるグループ療法と行動変容法の効果があります。

このような不適応行動は数カ月で改善できることがあります。自助グループや家族療法への参加も、

不適応行動を変える一助となります。弁証法的行動療法は境界性パーソナリティ障害に有効です。

この療法は、週1回の個人精神療法およびグループ療法と、

予定されたセッションとセッションの間に行われる精神療法家との電話連絡からなるものです。

患者が自己の行動を理解するのを助け、問題の解決法と適応行動の指導を目的としています。

 

境界性パーソナリティ障害および回避性パーソナリティ障害の患者には、力動的精神療法も有効です。

このように、治療によって、パーソナリティ障害のある人は自分の行動が人に与える影響について

顧みることができるようになります。パーソナリティ障害の中でも、特に不適応的な態度、

期待、思いこみなどがみられる場合(自己愛性人格、強迫性人格など)、

精神分析(米国精神医療の概観: 精神療法を参照)を受けることが勧められ、

通常は少なくとも3年間続けられます。

 

境界性パーソナリティ障害とは、感情をコントロールすることが苦手で、

人間関係のトラブルを起こしやすく、自傷行為に及んでしまうこともある精神疾患です。

境界性パーソナリティ障害の患者は増加傾向にあり、

この障害への正しい理解と適切な対処が急務となっています。

 

境界性パーソナリティ障害は回復しやすい病気

「境界性パーソナリティ障害はパーソナリティ(人格)の障害だから、一生治らない」

というのは誤解です。

治らない病気ではありません。治療法もあります。

回復して自立した生活をおくることもできます。

地道な努力や治療によって、多くの人が回復しています。

パーソナリティ(人格)の障害ではありません。

境界性パーソナリティ障害は、パーソナリティ(人格)という言葉のために

誤解が生まれやすい病気です。

「性格が悪い病気だ」「人格の障害だから治らない」といったものは全て誤解です。